わが家の安心のために加入を
シリーズで届けている「住まいにまつわるお金の基礎知識」。最終回は、地震保険について。独立系FP(ファイナンシャル・プランナー)会社「アドバンス・コミュニケーションズ」(和歌山市十二番丁)の代表でFPの秋山裕材(ひろき)さんに解説してもらいます。
「阪神・淡路大震災以降、数年ごとに各地で大地震が起こっていることもあり、一戸建てを建てたり、マンションを購入したりする際は、地震保険に加入される人が多いですね」と秋山さん。損害保険料率算出機構統計によると、2018年度の火災保険の新規契約の地震保険付帯率は65.2%。しかし、古くから住んでいる家に、新たにかけようとはならないようで、世帯加入率は32.2%にとどまっています。
では、何が弊害となっているのか。地震保険は、地震・噴火・ 津波による損害、地震による火災に備える保険で、政府と民間の損害保険会社が共同で運営。単独では加入できず、火災保険に付帯して契約します。ですが、火災保険は最長で10年満期なのに対し、地震保険は5年。加えて、建物・家財それぞれ火災保険の保険金額の30~50%に相当する額の範囲内でしか契約ができず、かつ建物は5000万円、家財は1000万円と上限金額も決まっています。さらに、補償内でも、全損は100%、大半損は60%、小半損は30%、一部損は5%と支払われる金額は損壊度合いによって変わります。
「地震保険は、火災保険にプラスアルファの保険料がかかるわりには、補償額に制限があり、地震で全壊したとしても、保険金だけで元通りに修繕することは不可能なんです。新築して契約更新を迎えるのは5年後、もしもの可能性と家計を顧みたときに更新を見送るのでしょうね」と分析。
ちなみに、地震保険は住んでいる都道府県で保険料が異なります。現在は、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県が最も高く、和歌山県はその次。「免震建築物や耐震等級などで保険料が割り引かれ、5年一括払いでさらに安くなります。更新時に、一括払いができる準備を」と。そして秋山さんは最後に、「保険は“お守り”です。何もなければ戻ってきませんが、わが家の安心のために、加入することをすすめます」と話していました。(おわり)
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