11月1日に、2025年度和歌山県立高等学校の募集定員が発表され、受験シーズンも本番を迎えます。入学者選抜の特色や傾向、取り組みについて、和歌山県教育委員会に聞きました。
中3生の生徒数の減少に伴い
全日制の募集定員が170人減
2025年度の和歌山県立高等学校の募集定員は、全日制で、29校4分校159学級の6310人。前年度と比べると、3学級170人減となります。
定員が減少する学校は、和歌山北(北校舎)、向陽、星林の3校で、それぞれの普通科各1学級、合計で120人。和歌山東の普通科5学級と、南部の普通科2学級、および食と農園科3学級は、1学級が通常40人のところ5人少ない35人で募集されることになります。向陽の環境科学科2学級など、中高一貫の5校8学級は内部進学となり、入学者選抜による募集は行われません。
和歌山県教育委員会県立学校教育課の担当指導主事は、「定員減の主な背景には、生徒数の減少があります」と説明。「公立の中学3年生の在籍数を前年度と比べると、270人程度減っています」。和歌山北、向陽、星林3校の学級減に関しては、「生徒の欠員数であったり、志願者数であったり、また、地域の状況などを勘案した上で、総合的に判断しています」と話します。
一方で、「和歌山県の子どもは和歌山県で育てる」方針に基づき、在籍数が270人減に対して、募集定員は170人減と緩やかに設定しています。前年度の本出願の倍率が0・89倍と定員を割り込んだ点に関しても、「県内の中学生が適正に受けられるように考慮して設定しています」と、話します。
多面的に評価する「特色化選抜」
25年度から「芸術」「学際」分野も
和歌山県立高校の入試には、一般選抜の他に、「特色化選抜」「スポーツ推薦」があります。「県教育委員会は、県立高校の魅力化・特色化を進めるため、さまざまな視点から入学者選抜の改善に取り組んでいます」と話す担当指導主事。その取り組みの一つとして、「特色化選抜」の対象や募集枠の拡充もあります。
「特色化選抜とは、学校内外での活動に対して、多面的に評価する入試スタイルです」と、説明します。
この制度は23年度から導入され、紀北農芸・南部両校の「農業」、串本古座の「宇宙」「地域」、和歌山北や和歌山東、和歌山工業など6校における「スポーツ」など、特定分野を学べたり、スキルを磨いたりする環境下にある設置校で、面接や作文、実技などで合否が判定されます。25年度には、新たに「芸術」と「学際」の2分野を導入。芸術は和歌山高校総合学科で、学際は新宮高校学彩探究科で募集されます(下記参照)。
一方、競技力向上のために実施されている「スポーツ推薦」は、対象や募集枠を縮小。27年度には廃止される予定です。しかし、「一部の競技は特色化選抜に移行されます。スポーツも、文化や芸術などの活動と同様に評価し、また、中学校で部活動の地域移行が進んでいる現状も踏まえて、このような形になりました。25年度以降も、生徒一人一人の活動や適性、資質・能力などを多面的に評価する仕組みを検討していきます」とも話していました。
25年度の入学者選抜の概要やスケジュールは県教育委員会のホームページに記載。選抜日程は、特色化選抜が1月24日(金)出願、1月30日(木)に面接・実技検査など、2月6日(木)に合格内定を通知。一般選抜・スポーツ推薦は2月17日(月)が一般出願、2月26日(水)・27日(木)に本出願、学力検査を3月10日(月)、面接・実技検査などを3月11日(火)に実施、合格発表は3月18日(火)。
“好き”を磨く、“得意”を伸ばす
25年度から導入される
特色化選抜「芸術」「学際」
芸術
和歌山高等学校総合学科(和歌山市)
芸術分野の専門教諭がそろい、基礎から応用まで幅広い知識やスキルを身に付けます。
検査 | 面接・実技 |
---|---|
実技内容 | どれか1分野を選択 音楽(声楽)曲の歌唱 音楽(器楽)曲の演奏 (ピアノ・フルート・オーボエ・クラリネット・ ファゴット・アルトサクソフォン・ホルン・ トランペット・トロンボーン・ユーフォニアム・ チューバ・バイオリン・クラシックギター・ スネアドラム・マリンバから1つ選択) 美術鉛筆デッサン 書道硬筆および毛筆 |
学際
新宮高等学校学彩探究科(新宮市)
教科や分野の枠を超え、探究的な学びに取り組み、リーダーとして活躍する力を習得。
検査 | 面接・小論文 |
---|