土地の境界の問題を、裁判で争うことなく解決する手段があります。今回は2つの解決法を紹介します。
一つ目は、法務局で取り扱う「筆界特定制度」です。これは、土地の所有者などからの申請に基づいて、筆界特定登記官が、現地での筆界(一筆の土地が登記されたときに定められた境界)の位置を特定する制度です。その際、外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえ、実地調査や測量(図面は申請人が準備)を含むさまざまな調査を行った上で、筆界を明らかにします。
筆界特定制度を活用することで、公的な判断として筆界が明らかになり、裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。
ただし、筆界特定制度は、土地の所有権がどこまであるのかを特定するものではないので、注意が必要です。筆界特定の結果に納得ができないときは、後から裁判を起こすこともできます。
二つ目は、土地家屋調査士会ADR(裁判外紛争解決手続き)です。県内では、和歌山県土地家屋調査士会が、民間型の裁判外境界紛争解決機関「境界問題相談センターわかやま」を運営しています。境界に関わる民事紛争の解決のために、土地家屋調査士と弁護士が調停人として当事者の間に立ち、お互いに納得のいく方法で解決をサポートしています。
調停が成立したときには、和解契約書が作成されるので、合意した内容に法的な拘束力を持たせることができます。土地家屋調査士会ADRは、境界問題全般を取り扱いますが、相手側が話し合いに応じない場合は、手続きを進めることができません。
和歌山地方法務局と境界問題相談センターわかやまは合同で、「境界問題無料相談所」を開設し、それぞれの相談内容に応じて制度の説明や助言などを行っています(毎月第3火曜・要予約)。
相談の予約や詳細に関する問い合わせは、和歌山地方法務局地図整備・筆界特定室073(422)5165まで電話で連絡をください。
(和歌山地方法務局登記部門・牧野茂美)
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和歌山地方法務局登記部門 牧野茂美さん
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