コミュニケーションなど、社会生活に欠かせない聴力
音が聞こえにくい…もしかして難聴?
3月2日(日)午後1時から、「耳の日 公開講座」が開催
最近、聞こえづらいと感じたことは? 耳はコミュニケーションをする上でも大切な役割りを担っています。3月3日は「耳の日」。耳の健康について考えてみませんか。和歌山県立医科大学で話を聞きました。
早期の発見・療育・支援が大切に
耳は、「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部位でできており、耳から音が入ると、鼓膜、耳小骨へと伝わり、内耳の蝸牛(かぎゅう)と神経を通って脳に届き、意味のある音として認識します(左図参照)。しかし、音が脳に伝わる過程で、どこか一つでもうまく働かなくなると、聞こえづらかったり、全く聞こえなかったりします。その症状を「難聴」といい、外耳か中耳に原因がある「伝音難聴」、内耳か神経、脳に原因がある「感音難聴」、伝音難聴と感音難聴の2つが合わさった「混合難聴」に分類。生まれつきの人(先天性)もいれば、病気や老化などで起こる人(後天性)もいます。
「難聴になると、“必要な音が聞こえない”“家族や友人とのコミュニケーションがうまくいかない”など、社会生活にさまざまな支障をきたします。そのため、早期発見・サポートが重要です」と話すのは、和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部(とうけいぶ)外科学講座の保富宗城教授(写真)。
先天性の発見に関して、和歌山県は、出産した医療機関(一部の助産院除く)で、難聴の疑いがあるかどうかを調べる新生児聴覚スクリーニング検査を受けることを推奨。難聴と診断された場合は、療育のサポートが受けられます。
ただ、検査で問題がなくても、病気や事故など、成長過程で聞こえに障害が起こることも。保富教授は、「聞き取りづらさは、言葉の発達に影響する可能性があります。周囲の大人が少しでも早く難聴に気付き、治療や発達段階に応じた療育を進めることが求められます」と伝えます。
また、大人の難聴では、加齢とともに聞こえにくくなる「加齢性難聴」があります。これは老化による聴覚機能の低下なので、放っておくと危険を察知する能力の低下やコミュニケーション障害による社会的孤立にもつながります。「生活の中で聞き取りづらさを感じたら、歳のせいにせず、医療機関を受診して、結果によっては、補聴器の利用も視野に入れましょう」とアドバイス。
現在、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、80歳でささやき声・30デシベルの音が聞き取れる聴力を保つことを促す「聴こえ8030運動」を展開。加齢以外の原因を予防するためにも、大音量を避けるなど、耳に優しい生活を心掛けるよう呼び掛けています。
「耳の日」に合わせ、県主催の「耳の日公開講座」が、3月2日(日)、和歌山城ホールで開催。聴覚障害の現状や取り組みに関する講演の他、聴力検査体験や支援機器の展示などもあり。保富教授は、「家族や本人に寄り添った支援ができるよう、医療、福祉、教育の連携体制をより強化していければ」と話しています。詳細は下記で。
こどもの聞こえと言葉に関する相談 | 乳幼児きこえとことば相談(聴覚障害児支援中核拠点) 080(4882)8177(聴覚障害者情報センター内) きこえとことばの相談センター ゆうかり 073(424)3276(県立和歌山ろう学校内) |
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