男性の更年期障害という言葉が、社会的に注目されるようになってきました。原因や症状、予防法について東京医療保健大学和歌山看護学部で話を聞きました。
早期発見と適切なケアが大切
女性特有というイメージがあり、世間ではあまり知られていない男性の更年期障害。“歳のせい”と見過ごされがちですが、仕事や生活に支障が出るほど症状が重くなる人も少なくありません。
原因は女性と同じホルモンの減少によるもの。「加齢とともに男性ホルモン“テストステロン”が低下し、発汗・ほてり、意欲の喪失、イライラ、不眠など、心身にさまざまな不調が起こります」と説明するのは、男性の更年期障害について研究している東京医療保健大学和歌山看護学部の南部泰士教授(写真)。
加齢に加え、仕事や人間関係、生活習慣も影響するとされていますが、病態が複雑で、まだ十分に解明されていないのが現状。発症に個人差があるものの、早ければ40代から現れるといわれています。南部教授は、「ただ、女性の更年期障害と異なり、男性ホルモンは基本緩やかに時間をかけて減少します。明確な兆候を見極めるのが難しい場合もあり、更年期障害に気付かず、見過ごしてしまうことも。原因不明の不調が続くなら、更年期障害を疑ってみましょう」と話します。
治療は泌尿器科の領域となり、問診や血液中のテストステロン値を測定して診断されます。平均的な値を下回った場合は、テストステロンを補充するなど、ホルモン治療が進められます。
南部教授自身も今から3年前の43歳のときに発症。「受診する決心がつかず、治療を始めたのは発症から2年後。ホルモン治療を始めたら、気持ちが以前のように前向きになり、もっと早く受診すれば良かったと思いました」と振り返ります。
予防には、日ごろからバランスの取れた食事、適度な運動と睡眠を心掛けることが大切とした上で、「早期発見と適切なケアが重症化を防ぐことにつながります。メンズヘルスの観点から、男性更年期専門外来を開設する医療機関も増えてきつつあります。普段と違う心や体の変化を感じたら、ためらわずに医療機関を受診し、相談することをおすすめします」と話しています。
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