家事動線を短縮する「ウオークスルー」
間取りや収納の工夫で、毎日の家事がグッと楽になる「家事ラクの家」シリーズ。5回目のテーマは、玄関をすっきりさせる「シューズクローク」です。「SiMs(シムズ)建築設計」(和歌山市福町)の代表で、1級建築士の島村健司さんが、シューズクロークを導入するメリットと注意点を伝えます。
シューズクロークとは、玄関ホール横に設けた、土足で出入りできる収納スペースのこと。「靴はもちろん、傘、コートなどの上着、帽子など外出時のアイテムや、広さによってはベビーカーや子どもの外遊びグッズ、アウトドア用品、スポーツ用品などを収納します」と、島村さんは説明。出入り口が1カ所のウオークインと、出入り口が複数あり、室内へ通り抜けできるウオークスルーに分類されます。
ウオークインは、最大で壁3面に棚を設置できるなど、収納力の高さが特徴。ウオークスルーは、クローク内に家族専用の玄関を設け、靴や上着を片付けてから室内に通り抜けできます。家族用と分けることで、メインの玄関をきれいに保てるのもメリットの一つです。
ウオークスルーを導入する場合、「生活動線をイメージした間取り計画が必要」と、島村さん。写真は、島村さんが手掛けた、夫婦と子ども2人が住むウオークスルーの一例。玄関、家族用玄関、パントリー、キッチン、ダイニング、リビング、玄関と、家の中をぐるりと回遊する間取りになっています。「帰宅したらクロークで靴を脱ぎ、洗面所で手を洗ってから、パントリーに食料品をしまい、キッチンやリビングへ。家事動線や生活動線が最短になるように設計しています」
一方で、「人が通る空間が要るため、ウオークインと比べて収納スペースが小さくなるデメリットも」とも。敷地面積に余裕がないと、メイン玄関のスペースをも圧迫してしまうことがあります。
また、シューズクロークは湿気や臭いがこもりやすいため、風通しに配慮を。「換気扇や室内窓を設けるなど、対策を」とアドバイスしていました。
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