厚生労働省は食生活や運動などの目標値を定めた「21世紀における国民健康づくり(健康日本21)」を数次にわたり展開。4月から第3次が始まりました。基本方針の一つ「ライフコース(生涯)アプローチ」に焦点をあて、食の面から取り上げます。
野菜小鉢1つ分約70グラムを意識
健康日本21(第3次)は、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」「個人の行動と健康状態の改善」「社会環境の質の向上」「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」の4柱を基本方針としています。中でも注目するのは、生涯を通して継続した健康づくりという考えの下、新たに「女性の健康」の項目が明記されたこと。健康や病気のかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を受けるという観点から、将来の健康問題を胎児期から予防することが重要というものです。
和歌山信愛女子短期大学の生活文化学科食物栄養コース・森岡美帆准教授(写真)は、「問題になっている“若年女性のやせ”は、ホルモンの分泌低下や骨量の減少、早産、低出生体重児のリスクにつながると報告されています。食生活の面で見ると、野菜の摂取量が少なく、妊娠中の女性が胎児の発育に必要な葉酸を十分に取れていない可能性が懸念されています」と伝えます。
第3次でも、1日あたりの野菜摂取目標量は350グラムとされていますが、現状は小鉢1つ分の約70グラム足りていません。森岡准教授は「葉酸は妊娠前からしっかりと摂取することが推奨されています。ブロッコリー、ホウレンソウなど、葉酸が多く含まれる緑黄色野菜を積極的に取り入れるようにしましょう」とアドバイスします。
また今回、骨粗しょう症検診率の向上も盛り込まれました。現状の受診率より約10㌽引き上げ、全国平均15%が目標。早めの予防・発見・治療で、健康寿命の延伸につなげようと、積極的に検診を取り入れる自治体も増えています。森岡准教授は「特に女性においては閉経に伴い、骨量が減少しやすくなります。骨粗しょう症の原因とされるカルシウムやビタミンD・Kの不足などを防ぐためには、食生活の改善を早期に取り組むことが重要です」と説明。その上で、「生活の質の向上を目指し、健康は自らコントロールするものといわれています。主食、主菜、副菜がそろったバランスの良い食事を心がけてください」と話しています。
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