和歌山バーテンダー物語 vol.07
- 2015/4/9
- 大人リビング
- 和歌山バーテンダー物語
19歳でこの世界に入ったというマスター。この店を持って8年。カウンターには大きな焼酎の壺、ダーツもある。
何でも聞いてくださいと言われていたが、私ばかり、しゃべっていることに気づいた。「人と接することが好き」というマスターを前に、こちらがペラペラ話している。それって一種の魔法?自分のノートを見返しても、「ここがみんなの休み処(どころ)になればいいですね」としか書いていない。
取材が終わり、片づけをと思っていたところに、マスターがコーヒーでもと誘ってくれた。
BARの空間で、一人になった。ダウンライトで照らし出されたアイテムを眺める。どこからか洋楽が聞こえる。窓の向こうでは、音もせずに人が往来し、車が通り過ぎていく。
今、いい時間を過ごしている、と思った。普段なら家に帰り、ピッとリモコンを押して部屋の明かりをつける。白い光が部屋の隅々まで行き渡り、見なくていいものまで照らし出す。同時にピッとテレビのリモコンを押す。一瞬静電気を帯びた音と同時に、青白く画面が映し出される。「世の中、こんなに悲惨なんだ」「世の中、こんなに楽しいんだ」と、私をあおる。
だから同じ1日の時間を過ごすなら、BARの空間がいい。今までを前向きに省み、これからに勇気を持って踏み出せる予感。自分の気持を自由に遊ばせることができる。
誰かの相槌(あいづち)が必要な時は、マスターと話せばいい。一杯のお酒を飲めばいい。
ここには人の心を自由にさせるマスターがいる。
(次回は5月16日号に掲載)
住所 | 和歌山市畑屋敷円福院東ノ丁1 |
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電話番号 | 073(432)7707 |
営業時間 | 午後8時~翌3時 |
休日 | 日・祝日 |
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