相続などで取得した不要な土地を、一定の条件の下で国が引き取る制度「相続土地国庫帰属制度」が、昨年4月から始まっています。この制度は、現在問題となっている、土地の管理不全により、所有者が分からなくなる「所有者不明土地」の解消にもつながるものです。
相続時に土地を手放す方法として考えられるのが、相続放棄や地方公共団体への寄付、民間売買ですが、寄付や売買は相手を探すのが困難な場合があり、相続放棄は、預貯金などの資産も全て相続できなくなります。本制度を利用して承認されれば、相続した使わない土地だけ、国に引き渡すことができます。
本制度を利用できるのは、相続や遺贈(相続人に限る)で土地の所有権を取得した相続人です。私有地であっても一般公衆の交通に利用されている土地や建物のある土地など、引き取りが認められないケースもあります。昨年12月31日現在、和歌山県内の申請件数は34件、うち承認され、土地の所有権が国に帰属した件数は1件です。
申請は土地が所在する法務局の本局で受け付けています。その際、申請書の他、印鑑証明、土地の位置と範囲が分かる図面、隣接する土地の境界線を記した現地写真が必要です。自身で準備できない場合は、申請書類の作成を弁護士や司法書士、行政書士に依頼するのも一つの方法です。申請後の書面調査、実地調査の結果、却下・不承認要件に該当しなければ承認されます。申請してから承認までの期間は半年~1年を見込んでいます。
審査手数料は一筆当たり1万4000円。納付後は、申請を取り下げた場合や、審査結果が却下・不承認となった場合でも返還できませんので注意してください。承認された場合は、負担金(10年分の土地管理費相当額)の支払いが必要です。森林を除き、原則20万円ですが、宅地、田畑は地域・面積によって増額する場合もあります。詳細は法務省「相続土地国庫帰属制度」で検索、または和歌山地方法務局登記部門073(422)5131に相談を。
(和歌山地方法務局登記部門・野上和也)
お問い合わせ | 073(422)5131 |
---|
関連キーワード