間取りや動線で車椅子でも過ごしやすく
新築以上に居心地の良い住まい―。リノベーションの基礎知識やトレンドを伝えるシリーズ6回目は、地元工務店が手掛けた「リノベの家」を実例で紹介します。今回は「浅井良工務店」(和歌山市築港)の一級建築士・杉本充朗さんに、バリアフリー性能を備えた古民家の改修について聞きました。
岩出市のМさん夫婦は、姉の車椅子生活をきっかけに、両親と5人で一緒に暮らすことに。改修物件は130年前に建てられた平屋の古民家と、平屋と続きになった築30年超えの鉄骨造りの建物でした。「家の老朽化が心配だけど、住み慣れたわが家を再生し、家族みんなで新生活を迎えたい」と相談された杉本さんは、「古民家の耐震、バリアフリー化、そして快適な住環境をコアに、改修に取り掛かりました」と話します。
居住スペースとなる建物2棟は全面断熱改修。古民家部分は耐震改修工事をして、住まいの性能と安全性を高めました。また、車椅子で家の中を移動しやすいように、通路幅を広く取り、段差をなくすなど、主要動線をバリアフリーに。「お姉さまの個室横にトイレや浴室、洗面所を配置し、日常生活を快適に過ごせる環境を整えました。インナーガレージも部屋の横にして、車に乗り降りしやすく、外出が苦にならないような配慮も」と、杉本さんは話します。
家の中心となるLDKは、緑が見えて自然光が差し込む場所に設定。梁(はり)や柱はそのままに、壁を取り払って、かつての和室と洋室をつなげ、開放的な空間を生み出しています(写真)。
古民家は伝統構法で建てられていることが多く、劣化や腐食が進んでいる場合も。「風情を残しながら安全性の高い改修をするには、構法の専門知識や技術、耐震補強のノウハウが必要」と杉本さん。依頼先を決めるポイントは、「古民家改修の施工実績を確認してください」と話していました。
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