治療の最前線! 専門医に聞くvol.17
再発・再入院を防ぐ
心臓血管リハビリテーション

循環器内科では、心筋梗塞や狭心症、心不全などの心臓疾患、腹部大動脈瘤(りゅう)や下肢へいそく性動脈硬化症などの血管疾患の治療にあたります。同時に、予後の改善や疾患の再発を防ぐため、運動療法や栄養指導、患者さんに病気についての知識を高めてもらうための指導やカウンセリングにも力を入れています。こうした一連のサポートを「心臓血管リハビリテーション」として、当科とリハビリテーション科が連携し、2023年度から本格的に取り組んでいく予定です。

 心臓病を患うと運動を控えなければいけないイメージですが、一人一人の疾患に合わせた適切な運動を取り入れることで回復が早まり、心臓疾患や血管疾患の原因となる動脈硬化の予防にも役立つことが、近年分かってきました。もちろん、心臓に負担がかかりすぎる運動はよくないので、一人一人の治療後の体の状態に合わせることが大切です。適度な運動量を医師が見極め、心拍数などをモニタリングしながら、有酸素運動を中心に取り組むことで骨格筋を鍛え、心肺機能を高めて予後の改善を目指します。

 こうした運動療法に加え、食事療法や病気の理解を深めて日常生活を送るためのカウンセリングなど、総合的に取り組むことが心臓血管リハビリテーションの大きな特徴です。身体機能の回復だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添い、患者さんが自信を取り戻して社会復帰を果たすことを目的とします。当院では、循環器内科の専門医と、心臓リハビリテーション指導士の資格を持つスタッフがサポートします。

(済生会和歌山病院循環器内科・下角あい子医長)

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