“住宅の一生”の二酸化炭素排出量に考慮
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、マイホームにも高い省エネ性が求められる時代。シリーズの7回目は、最先端なエコ住宅「LCCM」について、脱炭素に考慮した木造建築に取り組む「住友林業」住宅・建築事業本部和歌山支店(和歌山市六番丁)の松本隼紀さんに聞きました。
LCCMとはライフ・サイクル・カーボン・マイナスの略ですが、どのような家なのでしょう。「住宅のライフサイクル、つまり“家の一生”という長い期間にわたって省CO2を行い、太陽光発電などの自然エネルギーを最大限に活用してCO2の収支をマイナスにする住宅です」と松本さんは解説します。
以前、このコラムに登場した「ZEH(ゼッチ)」を覚えていますか。高断熱・高気密の造りに、高効率な省エネ設備と創エネ設備を備えたゼロエネルギー住宅です。年間の1次エネルギー消費量ゼロを目指すことはLCCMも同じですが、「居住時だけじゃなく、LCCMは建材の製造や運搬、家の施工時や解体時までCO2排出量の削減が考えられた、より環境に配慮した住宅なんです」と松本さん。一方で、「日々の光熱費が抑えられ、年間を通して家中の温度が一定に保たれるなど、住人にとっても心地よい暮らしが実現できます」とも。
省エネを追求した設計や設備が必要なため、建築コストがかさむ面もありますが、国土交通省の「LCCM住宅設備推進事業」の支援があり、要件を満たせば、1戸最大140万円の補助金が交付されます。「弊社でもこの制度を使って和歌山エリアにLCCMを建てたお客さまがいます」と松本さん。2023年度の同事業の詳細はまだ公表されていませんが、おそらく同レベルの補助が受けられるのでは、と話します。
LCCMは最先端のエコ住宅だけに国の認定基準が厳しい面もあり、認定を受けているのは200棟程度(2023年1月現在)。「高度な技術が求められるため、対応するハウスメーカーや工務店はまだ少ないのが現状。補助金を受ける場合は、過去の実績がどの程度あるか依頼先に確認してください」と、松本さんは話していました。
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