民法改正で原状回復のルールが明文化
年度替わりは賃貸物件の需要が高まる時期。和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・岩端芳則さんが、前回(2月26日号)伝えきれなかった賃貸物件を借りる、暮らす際の注意点について、引き続き説明します。
家を借りるには、家賃以外にさまざまな費用がかかり、初期費用として家賃の5~6カ月分くらい必要です。契約時に発生するのは、家主への「敷金(保証金)」「礼金」、仲介業者への「仲介手数料」、家賃保証会社への「保証料」の他、火災保険料、前家賃(契約時に支払う翌月分の家賃)、共益費・管理費など。敷金は、家賃滞納や原状回復のための修繕費など、あらかじめ家主に預けるお金で、関西では保証金と呼ばれることも。“預けるお金”なので、退去時には原状回復にかかる費用など差し引いた額が戻ってきます。一方、礼金は、家を借りることに対して家主への“お礼”で、退去時には戻りません。
「一般住宅の場合、敷金は家賃の1~3カ月分、礼金は1~2カ月分が相場。ただ、人口が減少し、空室が増えている昨今、“敷金・礼金ゼロ”という物件もあります」と岩端さん。そして、「敷金を巡るトラブルも宅建協会によく寄せられる相談案件の一つです」と言います。
キレイに住んで、原状回復の必要がなければ敷金は返ってきますが、この原状回復がくせ者。通常損耗や経年劣化については借り主に原状回復の義務はありません。しかし、過失による傷や汚れは修繕が必要で、それをどこまで借り主が負担するかがもめるもと。「国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルのガイドライン』では、壁やカーペットは『6年で残存価値1円となるような負担割合を算定』といったように建物・設備に『経過年数の考慮』が設けられていて、毀損(きそん)部分により、長く住めば借り主の修繕費負担の割合が少なくなるように示されています。また、2020年の民法改正で敷金と原状回復のルールが明文化されました」とのこと。
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