配置と引き戸で双方の“いいとこどり”
ファッションやコスメにトレンドがあるように、住宅にも“はやり”があります。それは、家族の形、暮らし方が時代とともに変化しているから。建て主の要望に耳を傾けながら、トレンドも加味して、数々のマイホームをプランニング・設計している地元ビルダーの建築士にイマドキの家づくり事情をヒアリング。シリーズで届けます。
初回は、丸良木材産業(和歌山市栗栖)の一級建築士・太田健さんに、リビング階段とホール階段の選択について話を聞きました。
リビング階段とは、リビングルームの中に設置した階段、ホール階段とは、玄関ホールに設けた階段のこと。「一昔前まではホール階段が主流でしたが、今は、リビング階段を望まれる人の方がやや多い印象。モデルハウスでの見せ方も影響していると思いますが」と、太田さんは話します。
リビング階段のメリットは、①リビングルームを広くとれる②吹き抜けを含めて空間を広く見せられる③階段をアクセントにおしゃれな空間を創出しやすい④上下階の移動時にリビングルームを通るので、家族の気配が感じられるといったところ。一方、ホール階段のメリットは、①リビングルームのエアコン効率が良い②家族間・来客時のプライバシーが守られやすいという点。「それぞれのメリットは、裏返せば双方のデメリット」と太田さん。「エアコン効率に関しては、住宅の断熱性・気密性が向上し、だからこそリビング階段に目が向けられるようになってきたのですが、リビング階段はにおい、生活音が2階に伝わりやすいといった問題も。ホール階段は階段や廊下が寒かったり暑かったり…」と補足します。
その選択は建て主の生活スタイル、好みによりますが「リビング階段の配置をできるだけ玄関に近い場所にして引き戸をつけた“ハイブリッド”という選択肢も。最近よくご提案しています」と教えてくれました。
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