口から始まる健康づくりvol.11
歯磨き・口腔ケアでインフルエンザ対策
- 2019/2/16
- みんなの健康
- 歯医者さんに聞きました!(口から始まる健康づくり)
口の中の細菌を減らすことが大切
プラーク除去など、日頃からケアを
今年も猛威をふるっているインフルエンザ。その対策として「手洗い」「うがいの徹底」や「マスクの着用」などはよくいわれることですが、意外にも「歯磨き・口腔ケア」の予防効果は、あまり周知されていません。
では、なぜ歯磨きがインフルエンザ予防に効果的なのでしょう?
インフルエンザウイルスは、鼻から喉にかけての粘膜にくっ付き、細胞内に侵入します。粘膜はたんぱく質で覆われていて、インフルエンザなどのウイルスが付くのを防いでいます。しかし、口の中でたんぱく質を破壊する酵素「プロテアーゼ」がつくられると、ウイルスの過ごしやすい環境ができてしまいます。
プロテアーゼは口中の細菌からつくられます。口を不潔にしておくと、細菌が増殖し、プロテアーゼの量も増え、インフルエンザにかかりやすくなってしまうのです。口のケアをしっかり行い、細菌を減らすと、唾液中のプロテアーゼ量が減り、インフルエンザの発症も抑えられる、というわけです。
さらに、インフルエンザウイルスは口腔内雑菌が出す「ノイラミニダーゼ」(NA)という酵素を介しても増殖します。病院でインフルエンザと診断され、処方される「タミフル」や「リレンザ」などは、NAの働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぐ抗インフルエンザ薬です。
ある介護福祉施設で行われた研究で、歯科衛生士が週1回、歯磨きや舌磨きの指導、プラーク(歯こう)の除去を行ったところ、実施しなかった施設と比べて、インフルエンザの発症率が10分の1に激減した、という報告があります。 10分の1とは驚きですよね。
口の清掃はもちろん、歯科医院で行うケアが最も効果がありますが、日頃の自宅でのケアが一番重要です。
歯ブラシの交換の目安は約1カ月です。歯ブラシは、何千何万もの微生物や細菌のたまり場になっているのです。お口の中には約300種類の細菌が生息していると言われています。その細菌をこすりとっているのが歯ブラシですから、細菌のたまり場になっしまうのも当然です。
しっかりと歯磨きをして、インフルエンザを予防しましょう!
(川崎豪彦)
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