口から始まる健康づくりvol.12
歯と脳のつながり 認知症とも関係が…
- 2019/3/23
- みんなの健康
- 歯医者さんに聞きました!(口から始まる健康づくり)
しっかりと正しくかむことで脳を刺激
入れ歯はその人に合ったものを使用
歯の働きは食べるというそしゃく機能だけなく、物をかむ行為が脳を刺激するということが分かっています。歯と歯をかみ合わせたときの刺激が、歯根にある歯根膜から脳に伝わり、感覚や運動、記憶、思考、意欲をつかさどっている部位の活性化につながるのです。 東北大学の研究では、健康な人は平均14・9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある人は平均9・4本と明らかな差が見られました。また、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬(かいば)や、意志・思考の機能をつかさどる前頭葉の容積などが少なくなっていたことが分かりました。結果、歯が無くなると、脳が刺激されなくなり、脳の働きに影響を与えてしまうということが判明しました。 神奈川歯科大学の研究結果では、残っている歯の数が20本以上ある人に比べ、歯が無く・入れ歯も入れていない人の認知症リスクは1・9倍。よくかんで食べることができる人に対して、あまりかめない人の認知症リスクは、1・5倍と高くなっています。 歯があればかめますが、歯が抜けるとかめないだけでなく歯根膜もなくなり、脳へ刺激は伝わらなくなります。また、歯があってもあまりそしゃくを意識しないで食べていると、脳への刺激が少なくなってしまいます。このことから、脳を活性化するには意識してかむことが大切といえます。 広島大学は、よく物をかむことができる正常なマウスと、元々歯が無く柔らかい物しか食べられないマウスを比較した研究を行いました。その結果、歯の無いマウスの方には、大脳皮質にアルツハイマー型認知症の原因と考られているアミロイドβ(ベータ)たんぱくが沈着し、老人斑が多数発生。記憶や学習能力に関わる海馬の細胞数も減少していました。 研究結果から分かることは、物をよくかんで食べることができなければ、そしゃくによって中枢神経が刺激されることも少なくなり、アルツハイマー型認知症を引き起こしてしまう確率が高くなるのです。 奥歯を削り、かみにくくしたマウスの歯を、セメントなどで修復すると、正常なマウスと同じ程度にまで記憶力が回復したという研究結果があります。かみ合わせが悪いまま放っておくのではなく、かむことができるように治療することで記憶力の回復の可能性が高まるのです。アルツハイマー型認知症の人の口の中を調べると、歯が無くなり、長い間よくかんで食べることができていなかったと思われる人が多く見られます。 歯が無いと歯根膜が無くなるため、刺激が脳には伝わりません。しかし、歯に代わる入れ歯や、インプラントなどの治療を行えば歯と同様の働きをすることができます。入れ歯を入れるだけでは不十分。その人に合った入れ歯を使用し、正しくかむことが重要です。
(川崎豪彦)
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