3月8日(サバの日)解禁! 和歌山新ブランドサバ 目指せ! 世界一のサバ養殖
- 2020/3/5
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塩焼き、 みそ煮、バッテラ、きずし…、昼の定食にも晩酌にも万能魚“サバ”。総務省統計局「家計調査」(2016~18年平均)によると、和歌山市の1世帯当たりのサバの消費金額は1595円で、全国2位。古くから「なれずし」に慣れ親しんできた和歌山の人たちはサバがお好きなようで。そんな和歌山で新たな養殖サバの挑戦が始まります。
国内市場を席けんするノルウェー産 国産サバはブランド化で価値向上
農林水産省の魚種別漁獲量を見ると、2018年の「さば類」の漁獲量は、54万1975トンで全魚種の漁獲量の約16.1%を占めています。その半分程度をアフリカ諸国などに輸出、6万トン弱をノルウェーから輸入しています。実はスーパーに並ぶ「塩サバ」や、近年ブームの「サバ缶」はほぼノルウェー産。一方、国内では、サバの価値を高めるブランド化が進み、大分県の「関サバ」、宮城県の「金華サバ」といった各漁場でとれる天然のご当地サバに加え、佐賀県の「唐津Qサバ」、宮崎県の「ひむか本サバ」など養殖のブランドサバも続々と登場しています。
そうした中、和歌山県でも、「世界一のサバ養殖プロジェクト」が始動。地魚をはじめ全国の鮮魚を扱う「丸長水産」(田辺市上ノ山)と、国内外でサバ料理専門店「SABAR(サバー)」を展開する「鯖や」(大阪府豊中市)がタッグを組み、3月8日(日)に和歌山生まれ、和歌山育ちの新たなブランドサバを誕生させます。
和歌山の資源を生かして町おこし
紀伊大島の恵まれた海域で完全養殖 和歌山から全国、世界を目指す
3月8日にデビューする和歌山のブランドサバ(以下・和歌山さば)は、串本町紀伊大島の養殖場で育てられています。実のところ、こちらの養殖場では昨年まで、梅エキス入りの配合飼料を使った「紀州梅お殿さば」というマサバが養殖されていて、県内外で流通していました。「『お殿さば』を広めてほしいという打診を受けたこともあります。でも、当社は、鳥取県の『お嬢サバ』、福井県の『小浜よっぱらいサバ』など数々の養殖サバをプロデュースしているので、“よそさま”のものは…と、当時はお断りしたんです」と、サバのことを知り尽くした“サバ博士”こと「鯖や」の右田孝宣社長は話します。
ところが、昨年、「お殿さば」を手掛ける水産会社が事業撤退を表明。セミナーを通じて意気投合した右田社長と「丸長水産」の柴田隆治社長が、養殖場とその技術を継承することに。「大島にはマグロの養殖場があるくらいなので、サバが生育するのに最適な環境。そこに立派な施設があり、人工孵化(ふか)させた成魚から採卵して成魚まで育てる『完全養殖』の選抜育種で、すでに第5世代まで育っていて…。サバ博士の私を、サバたちが呼んだのだと思います。これまでの実績と経験で、『お殿さば』を上回る『和歌山さば』を育ててみせます」と意気込む右田社長。和歌山から日本全国に出荷、いや世界各国への輸出を目指しています。
待望のブランドサバは「和歌山県おさかな村」で生食で
3月8日には、世界へ羽ばたく「和歌山さば」の新名称が発表されるとともに、その日に合わせて産卵も。「とことん“サバ”にこだわり、サバの日生まれに(笑)。孵化してから食べられるようになるまで1年ほどかかりますが、それまでは、その子たちの親世代が新たなブランド名を名乗り、まずは地元の人たち、関西の人たちにアピールしていきたい」と。親世代もこれから生を受けるサバたちも、卵から管理下で育てられる完全養殖なので、寄生虫「アニサキス」がつく可能性が低く、“生食”で味わえるのが特徴。通常、青魚は内臓に含まれる酵素が多く傷みやすいため、生食には不向きですが、こちらの養殖サバは刺身やにぎり寿司(ずし)で提供されます。
期待高まる「和歌山さば」は、「海鮮問屋丸長田辺店」を改装して3月8日にプレオープンする「和歌山県おさかな村」(田辺市新庄町)、「海鮮問屋丸長和歌山インター店」(和歌山市栗栖)で食べられます。「おさかな村」も、“さば博士”がプロデュース。「海辺の立地で、釣り堀があって、生けすがあって、バーベキュー設備もあって…。いつか手掛けたいと思っていた“シーグランピング”が実現できました。日本全国どこにもない“食”と“体験”と“学び”を通して魚を丸ごと楽しめる施設です」