知っておきたい住宅の基礎知識~構造・工法編④~
ビルやマンションだけではない鉄骨造住宅のメリットとデメリット
設計の自由度が高く、揺れに強いが基礎工事、断熱対策に費用が
これまで木造住宅の構造・工法を学んできましたが、今回は鉄骨造について。重量鉄骨造住宅で実績のある「パワーハウス」(和歌山市手平)工務部の梅本博司さんに解説してもらいます。
「鉄骨造には、軽量鉄骨と重量鉄骨があります。使用する鉄骨の厚さが6mm未満であれば軽量鉄骨、6mm以上であれば重量鉄骨です」と前置きした上で、「国内で軽量鉄骨造の住宅を手がけているのは大手ハウスメーカーです。われわれ地場の工務店は木造住宅を中心に、重量鉄骨造も建てますが、軒数が多いわけではありません。木造に比べるとコストがかかりますから」と説明します。
とはいいつつも、一定の需要はあるのだとか。「なんといっても設計の自由度が高いので…。柱のない20畳、30畳の吹き抜けリビングが可能で、開口部も大きく自由に開けることができます。狭い敷地では、1階を駐車場にして2階と3階を住居にするケースも多いですね。あと、耐震面で最初から鉄骨造と決めて相談に来られる方もいます。耐用年数も木造より長いですし」と。木造住宅も法規に基づいた耐震性能が備わっていますが、木造と鉄骨造とは揺れの感じ方が異なり、鉄はしなる分だけ揺れる反面、一気に崩れにくい構造だといわれています。
では、デメリットは?「最初に言いましたが、ネックはコスト。木造よりも建物重量が重いため基礎を強固にしないといけません。そこに費用がかかるのと、皆さんの想像通り、鉄は木造より室外の暖気・冷気が伝わりやく、何もしなければ夏は暑く、冬は寒い家に。それ相応の断熱処理も必要です」とのこと。
鉄骨造というと、マンションやビルのような無機質な建物を思い浮かべると思いますが、「内装次第で木のぬくもりにあふれた空間にもできますし、三角の瓦屋根のおうちにもできます」と教えてくれました。
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