スマホ決済Q&A
- 2019/6/20
- フロント特集
今、急速にキャッシュレス化が進行中!○○ペイなど多彩なスマホ決済サービスもあり、「複雑でよく分からない」という人も多いのでは?そこで、専門家に聞きました。
新時代に備えて、知識を身につけよう
リビングくらしHOW研究所の「キャッシュレス決済についてのアンケート」(※1)によると、現金とキャッシュレス決済でどちらの支払いが多いかは、ほぼ半数ずつ。利用しているキャッシュレス決済で一番多いのは、カード式電子マネー(交通系・流通系ほか)94.4%、次いでクレジットカード86.3%、〝スマホ決済〟は12.4%でした(複数回答)。
「世界的にみると、日本のキャッシュレス化は遅れています。その理由は、現金への信頼性の高さとスマホ決済への不安感。しかし、来年の東京オリンピックを前に急速に進みつつあり、多くの店でスマホ決済が利用できるようになってきました」と綿谷禎子さん。まずは知識を身につけて!
教えてくれたのは
デジタルライター
綿谷禎子さん
情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスに。現在はビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業の自社発信メディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。特に、スマホ決済などキャッシュレス関連に強い
Q1 “キャッシュレス”での支払い方法にはどんな種類がありますか?
A キャッシュレスでの支払い方法は、タイミング別に「前払い」「即時払い」「後払い」の3種類。スマホ決済は、サービスによって利用できる支払いが異なります。
【前払い】……プリペイド方式で、電子マネーが代表的。事前に現金をチャージしておき、その金額内で利用。
【即時払い】…代表格はデビットカードで、支払いと同時に銀行口座から代金が引き落とされます。
【後払い】……クレジットカードが代表的で、購入して半月から1カ月後の支払いになります。
Q2 スマホ決済で、スマホをかざす方法とQRコードなどを読み取る方法の違いは?
A スマホをかざす決済は、日本では主にFeliCa(フェリカ)という通信技術が使われています。“おサイフケータイ”や電子マネーと呼ばれ、利用するには、FeliCaに対応したスマホが必要。国内の大手キャリアで販売されているスマホは、対応のものが多いです。
一方、コードを読み取る決済は、アプリで支払うタイプなので、ケータイの種別にこだわらず、基本的にどのスマホでも利用可能です。自分のスマホに表示したQRコードやバーコードを店側に読み取ってもらう「ユーザー提示型」、逆にお店が提示するQRコードを自分のスマホに読み込んで支払う「ユーザー読み取り型」があります。
Q3 最近、「コード決済」が注目されていますが、どうして?
A QRコードやバーコードなどを表示して行う「コード決済」は、利用者がアプリをインストールすれば、スマホの種類に関係なく始められます。また、店舗にとっても高額な専用端末がいらず、決済手数料も低め。個人店でも導入しやすいんです。続々とサービスが増えていますが、まずは特徴を知って、よく利用するお店で使えるものや、お得なキャンペーンなどをきっかけに始めてみるのもいいのでは?
Q4 セキュリティーは大丈夫?スマホをなくした時は?
A 不正利用などの対応は、各サービスでそれぞれ対策を実施。仮に不正利用の疑いがあった場合は、きちんと確認が取れればスマホ決済を提供している企業側やカード会社などが補償してくれます。 スマホを紛失した場合は、まずはケータイ会社に連絡してスマホ機能をロックしましょう。パスワード設定はもちろん、指紋や顔などの生体認証を設定しておけば、より安心感があります。
Q5 スマホ決済を利用する際の注意点などはありますか?
A スマホ決済は、現金払いに比べるとお金を使っている感覚が薄れがち。ムダ遣いには注意しましょう。しかし、支払った日時や場所、金額などの利用履歴が一覧できるので、管理しやすいというメリットも。まめにチェックすることが大切です。電子マネーの場合は、チャージをオートではなくその都度にしたり、毎月の予算分だけチャージしておくようにすれば使い過ぎ防止になります。
※1:サンケイリビング新聞社のWebサイトで2018年12月にアンケートを実施(有効回答数/キャッシュレスを利用している女性1360人)
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
※6月10日時点の情報です
スマホのアプリを使った「コード決済」をピックアップ。詳細・キャンペーンは、各社のサイトをチェックして。
通信キャリア系
d払い
決済方法 | ①電話料金合算 ②クレジットカード ※dポイントまたはドコモ口座残高の充当が可能 |
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コード決済時の基本還元率 | 0.5%~1.5% ※支払い方法により異なる |
使える場所 | ローソン、ファミリーマート、エディオン、ウエルシア薬局、髙島屋など約7万5000店舗(3月31日時点) |
特徴 | NTTドコモの「d払い」。ドコモユーザーなら、電話料金合算払いが利用できるため、クレジットカードや銀行口座の登録は必要ありません。9月以降、送金・dポイントの送り合いができるウォレット機能や、加盟店のサービスを一元化して使えるミニアプリなど、新機能が追加予定。 ★https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/ |
auPAY
決済方法 | au WALLET 残高 ※au WALLET プリペイドカードの申し込み(無料)が必要 |
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コード決済時の基本還元率 | 0.5%~1.5% ※会員種別により異なる |
使える場所 | ローソン、松屋、エディオン、ウエルシア薬局、イケアなど。au PAY単体の店舗数非公開 |
特徴 | KDDIの「au PAY」は、「au WALLET アプリ」から利用。チャージ方法として、夏以降、セブン銀行ATMでの現金チャージ、残高不足時にその場で不足額を自動でチャージできる、auかんたん決済(リアルタイムチャージ)を追加予定。 ★https://aupay.wallet.auone.jp/ |
PayPay
決済方法 | ①クレジットカード ②銀行口座またはYahoo! JAPANカードからのチャージ(PayPay残高) ③Yahoo!マネー |
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コード決済時の基本還元率 | 0.5%~3% ※支払い方法により異なる |
使える場所 | セブン-イレブン(7月1日~)、ウエルシア薬局、ビックカメラ、牛角、ビッグエコーなど約60万店舗(5月8日時点) |
特徴 | PayPay(ソフトバンクとヤフーの共同出資会社)の「PayPay」。PayPayユーザー同士で割り勘ができたり、利用した店舗や決済金額などが分かる利用レポート機能なども。 ★https://paypay.ne.jp/ |
大手IT系
楽天ペイ
決済方法 | ①クレジットカード ②楽天スーパーポイント ③楽天キャッシュ |
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コード決済時の基本還元率 | 0.5%~1.5% ※支払い方法により異なる |
使える場所 | ファミリーマート、ローソン、松屋、丸善ジュンク堂書店、エディオンなど。楽天ペイ単体の店舗数非公開 |
特徴 | 楽天ペイメントの「楽天ペイ」。楽天会員であれば、登録済みクレジットカードを連携して始められます。 ★https://pay.rakuten.co.jp/detail/ |
LINE Pay
決済方法 | 銀行口座、コンビニ、ATMなどからのチャージ |
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コード決済時の基本還元率 | 0.5%~2% ※会員種別により異なる |
使える場所 | ローソン、スギ薬局、スシロー、ジョーシン、イケアなど約55万カ所(4月19日時点) |
特徴 | LINE Payの「LINE Pay」は、コミュニケーションアプリ「LINE」内で提供されているサービスで、別途アプリのダウンロードは不要。LINEの友だち同士での送金や割り勘もできます。 ★https://line.me/ja/pay |
メルペイ
決済方法 | ①メルカリの売上金 ②銀行口座からのチャージ ③メルペイ後払い(翌月支払い) |
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コード決済時の基本還元率 | 0% |
使える場所 | ローソン、ファミリーマート、セブン-イレブン、イオン、かっぱ寿司、ガスト、マクドナルドなど約135万カ所(3月31日時点) ※「iD」決済を含む、年内200万カ所予定 |
特徴 | フリマアプリ「メルカリ」の「メルペイ」。「メルカリ」の売上金をそのまま決済に利用できます。ポイント還元はありませんが、さまざまなクーポンを提供。NTTドコモの非接触決済サービス「iD」対応店舗でも使えます。 ★https://www.merpay.com/ |
Origami Pay
決済方法 | ①クレジットカード ②銀行口座引き落とし |
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コード決済時の基本還元率 | 2%即時割引 ※銀行口座引き落としの場合、3%に |
使える場所 | ローソン、LOFT、ウエルシア薬局、阪急阪神百貨店、ケンタッキーフライドチキンなど。6月10日時点の店舗数非公開 |
特徴 | Origamiの「Origami Pay」。ポイント還元ではなく、その場で割り引きされるのが、ほかのサービスとの大きな違い。加盟店で使えるクーポンの配信や、キャンペーンも常時開催。 ★https://origami.com/origami-pay/campaign/ |
銀行系
りそなウォレットアプリ
決済方法 | ①銀行口座からのチャージ ②銀行口座引き落とし ③後払い機能「SLiDE(スライド)」 ※SLiDEは審査があります |
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コード決済時の基本還元率 | 0% |
使える場所 | ウエルシア薬局など約6000店舗(4月30日時点) |
特徴 | 「りそなウォレット」は、りそなグループのデビットカードやクレジットカードの登録だけでなく、「プリペイド機能」や「口座即時決済機能」、「後払い機能」などの各種決済ツールをこのアプリ1つで利用できます。さらに、事前に設定したルールに従って自動的におつりを貯金していく「おつり貯蓄機能」や、提携店舗で使える「クーポン機能」も搭載した、日本初の「オールインワン」アプリ。 ★https://www.resonabank.co.jp/ |
J-Coin Pay
決済方法 | 銀行口座からのチャージ |
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コード決済時の基本還元率 | 0% |
使える場所 | 順次加盟店拡大中 |
特徴 | みずほ銀行の「J-Coin Pay」。銀行口座から簡単に出し入れできる電子マネーを利用し、友人や家族へ 「送る/送ってもらう」 、 お店で 「支払う」 という、お金に関する“さまざまな行為” が、スマホ上のアプリで「いつでも、どこでも、無料で」できるサービス。全国約70の金融機関と協働し“銀行系デジタル通貨のプラットフォーム”として、日本政府が目指すキャッシュレス化の実現を強力に推進しています。 ★https://j-coin.jp/ |
ゆうちょPay
決済方法 | 銀行口座引き落とし |
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コード決済時の基本還元率 | 0% |
使える場所 | ヤマダ電機、エディオン、ケーズデンキ 、ウエルシア薬局など。ゆうちょPay単体の店舗数非公開 |
特徴 | ゆうちょ銀行口座のある人は、年齢制限なく、審査不要で利用可能。口座直結型のサービスのため、クレジットカードの登録や、事前チャージが不要。支払金額は貯金残高の範囲内。1日、1カ月あたりの利用上限金額が設定可能で、使いすぎを防止。各種料金の請求書支払など、サービスを順次拡大中。9月30日(月)まで先着100万人に現金500円をプレゼント。 ★https://www.jp-bank.japanpost.jp/kojin/sokin/yuchopay/kj_sk_yp_index.html |
8月1日(木)から和歌山県など4県で「統一QR普及事業」がスタート
読者の皆さんが、スマホアプリを使った「コード決済」への関心を持ったのは、昨年末、何かと話題を集めた「100億円あげちゃうキャンペーン」がきっかけという人も多いのでは。以降、ほんの数カ月の間で、スーパーや飲食店、コンビニエンスストアなどコード決済を導入する店舗が急速に増え、還元率やキャンペーンに応じて、右ページ各社のサービスを上手に使い分けているツワモノも…。
そうした中、さらなるコード決済の拡充、キャッシュレス化を目指した総務省の取り組み「統一QR『JPQR』普及事業」が、8月1日(木)からスタート。この事業の実施地域に和歌山県が選ばれています(他は岩手県、長野県、福岡県)。
コード決済は、クレジットカードや電子マネーに比べて、店舗の導入・維持コストがかからないため、政府は特に、小規模店舗への導入を促し、利用者拡大へとつなげたい考え。また、現状、決済事業者ごとに異なるQRコードを統一規格にして、乱立する「○○ペイ」の使い勝手をより良くしようという狙いも。来年1月31日(金)までの6カ月間、店舗の決済手数料などを優遇して、どの程度普及するかを検証します。
統一QR普及事業に参画する決済事業者は、「NTTドコモ/d払い」「Origami Pay」「KDDI/au PAY」「LINE Pay」「メルペイ」「みずほ銀行/J―Coin Pay」「ゆうちょ銀行/ゆうちょPay」「福岡銀行/YOKA!Pay(福岡県限定)」。8月からの実施に先駆け、6~7月にかけて、県内の商工会、商工会議所で事業者向けの説明会を開催しています。
県内の統一QR普及事業推進窓口となっている和歌山県商工振興課の遠藤このみさんは、「手数料が優遇され、一度の申し込みで複数社の決済事業者と同時に契約できるので、興味を持って説明会に参加される事業主さんが多いですね。8月以降、コード決済導入店舗はもっと増えるはず」と説明。
さらに、政府は、10月1日の消費税率引き上げに伴う需要平準化対策として、10月から来年6月まで「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施。キャッシュレス化が加速しそうなこの機会に、「○○ペイ」を始めてみては。まずはアプリのダウンロードから!!
使い方 | |
誰が? | 何をする? |
①利用者(顧客) | 紙(ステッカー)に印刷されたQRを読み取り |
②利用者(顧客) | 支払う金額をアプリに入力して支払い操作 |
③事業者(店舗) | 利用者のスマホなどを見て決済が完了したことを確認 |
▼ (図2) |
キャッシュレス化を推進する立場となり、昨夏からコード決済を利用するようになったという、和歌山県商工振興課の遠藤このみさん。「クレジットカードもあまり使わない“現金派”でしたが、今はほぼコード決済で簡潔。ATM(現金自動預払機)を使う機会が減り、金銭感覚がなくってしまわないか心配でしたが、いつ何を買ったのかすべてデータで管理できるので逆に便利。職場の飲み会も、送金機能を使って、現金のやりとりはなし。ポイントは幹事の特権」と話します。クーポンやキャンペーンをこまめにチェックして、“3つのペイ”を使い分けているそう。「お得に買い物ができ、ポイントを賢く貯める“ポイ活”も楽しいです」と。