知っておきたい住宅の基礎知識~構造・工法編②~
木造軸組み工法(在来工法)のメリットとデメリット
今回は、日本で最も広く普及している木造軸組み工法のメリットとデメリットについて学びます。解説してくれるのは、創業1868(明治元)年から社員大工の匠の技で多くの日本建築をつくり続け、「和歌山100年企業表彰」も受けた「大彦」(和歌山市網屋町)7代目・野上浩幹さんです。
日本の風土に最適、継承されてきた技術
「木造軸組み工法のメリットといえば、やはり、木は日本の気候風土に適していることではないでしょうか。何千年もの歴史があり、長年受け継がれてきた技術力もあります。木そのものに調湿効果やぬくもりがあるので人間にとって居心地良いですし、環境にもやさしい。鉄骨造、鉄筋コンクリート造と比べると低コストで建てられます」と野上さん。
昨今、全国各地で大地震が相次ぎ、耐震性が住宅購入の一つの判断基準にもなってきていますが、「柱、梁(はり)、筋交いなどでしっかりと固めます。高度な構造計算も実施してきっちりと耐震性を確保している工務店も増えてきています」ときっぱり。近年は、地震動の周期と木造、鉄骨、鉄筋コンクリートの周波数の研究も進んでいます。
「デメリットをあげるとすれば、格化された構造材を使う鉄骨、鉄筋コンクリートと違って、自然のものを扱う木造は、目利きにもそれを扱う技術力でもつくり手の力量が明確に出やすく、パートナー選びが大事かもしれません。あと、木なのでどうしても耐火性は他と比べると劣ります。密集地では一段の工夫が必要です」と。
よく“木造軸組みは自由度が高い”といわれることに関しては、「構造上の制約が少なく、開口部の設定や間取りも比較的自由です。しかし、“柱のない広い空間”には限界があり、コンクリート打ちっぱなしのようなデザインは難しいです」とのこと。政府の方針もあり、ここにきて公共施設や学校の木造建築が増えています。木の良さ生かした住まいを。
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