被災地での体験、経験を生かして㉒
- 2018/12/6
- コーナー
- 考えよう災害時の備え, 過去の人気連載コーナー
JAHA認定家庭犬インストラクター・和歌山県動物愛護推進委員 石田千晴さん
ペットと一緒に避難するために、日ごろから準備を
備蓄より社会性を身に付け、人慣れを
今や子どものいる家庭よりも、 犬や猫を飼育する家庭の方が多い時代。皆さん、ペットの防災対策はできていますか?
JAHA認定家庭犬インストラクターで、和歌山県動物愛護推進委員の石田千晴さんは、「災害時はもちろん人命が大切」と前置きした上で、「今はペットは家族の一員。責任ある飼い主なら、ペットの命を守り、一緒に逃げることを考えているはず」と言います。
阪神淡路大震災や東日本大震災のときは、受け入れ態勢が整っていないなどの理由で、ペットを置いて逃げることを余儀なくされた人も少なくなく、石田さんは動物たちを保護するために、ボランティアに駆けつけました。「シェルターを開設して預かったり、救護したりしましたが、すべて飼い主の元に戻れるわけではなく…」と厳しい実情を打ち明けます。
その教訓から、環境省は、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を2013年に策定。人間にスムーズにいち早く避難してもらうためにも、ペットと一緒に避難する“同行避難”を推進。さらに、熊本地震での経験を踏まえ、今年4月に「人とペットの災害対策ガイドライン」に改訂されました。
とはいうものの、避難所のペットの受け入れには、課題も山積み。「動物嫌いの人もいれば、アレルギーの人もいますし、飼い主のマナー・しつけの問題もあります」と石田さんは指摘。「被災したときのために、ペット用品の備蓄も必要ですが、まずは、飼い主の責任として、迷子札やマイクロチップの装着、予防接種、寄生虫の予防・駆除、避妊・去勢をすること。また、愛犬や愛猫に人間と暮らしていく上での社会性を身に付けさせ、人慣れさせておくことが何よりもの備えに」と強調します。そして、「日ごろの近所付き合いも大事」とも。「非常時の共助はもちろん、近くに住む人たちにかわいがってもらえるペットであれば、避難生活の際も見方になってもらいやすい」と訴えます。
最後に、石田さんはこう問いかけます。「もしものときにあなたが行こうと思っている避難所は、ペットOKかどうか知っていますか? 事前に電話で確認することで、受け入れを考えてもらえるきっかけになるかもしれません」と。「大切なペットの命を守る防災対策を通じて、飼い主さん自らの防災対策を考えるきっかけにもなってほしい」とも話していました。
家庭犬インストラクター・石田千晴さんが伝えたい災害時の備え
◆事前に、最寄の避難所がペット受け入れが可能かどうか確認
◆狂犬病予防、ワクチンの接種、寄生虫の予防・駆除など愛犬・愛猫の健康管理は飼い主の義務
◆災害時は愛犬・愛猫もパニックになって逃げ出す可能性が。マイクロチップ、迷子札で愛犬・愛猫に所有者明示を
◆同行避難ができるように、「ケージに入る」「不必要に吠えない」「決められた場所での排せつ」など、社会性を身に付けておく
◆避難所生活を円滑にするためにも、近所付き合いを大事に。みんなに愛されるペットに育てましょう
※次回2月9日号掲載
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