Q&Aで聞く 教えて!天気予報の見方
- 2018/8/17
- フロント特集
7月からの豪雨に酷暑、台風。天気の様子が気になることがしばしば。ニュースや毎日の天気予報で詳しく解説されていることもありますが、あまり細かいところまでチェックできていないのでは? 天気の予報のあれこれを、Q&A形式で専門家に教えてもらいました。
天気予報が教えてくれること
敏感になって、いざというとき参考に
7月中旬以降から日本各地で続いた記録的な酷暑、その少し前には、未曽有の大雨が西日本を襲いました。また、この夏は台風が来ることも多く、テレビやインターネット、スマホなどでも気象の情報を見たり、耳にしたりする機会が多かったのではないでしょうか。
天気図から気象の様子が分かったり、また、天気予報について正しく理解ができれば、毎日の生活に役立ちます。さらに、日ごろから気象情報に関心をもっておくことで、災害時などいざというときに、キャッチした情報を生かすことができるかもしれません。
今回は、天気予報や気象情報について、ちょっとした疑問も含めた“あれこれ”を専門家に聞いてみることにしました。
答えてくれたのは、気象庁和歌山地方気象台(和歌山市男野芝丁)の予報官・上田征弘さん(写真右上)。天気予報の専門的なことから、よく聞く言葉だけど意外と知らないことなど、Q&A形式でまとめました。参考にしてみましょう。
また、和歌山地方気象台が、例年夏休みに開催している「子どもお天気広場」の情報も案内しています。
Q.「くもり時々雨」「くもり一時雨」どっちの天気が悪い?
A. 「時々雨」は、予報の対象となるうち1/2未満の時間(1日なら12時間未満)で雨が降ったりやんだりすること。「一時雨」は、1/4未満の時間(1日なら6時間未満)
で続けて雨が降ること。雨が降っている時間は「時々雨」の方が長くなります。
Q.降水確率100%なら絶対に雨が降りますか
A. 降水確率は、予報している地域内で1mm以上の雨の降る確率を、6時間ごとに10%単位で表します。例えば、午前6時~12時の降水確率が20%なら、その期間に1mm以上の雨の可能性が100回中20回あるという意味。確率が高いと雨量が多くなるという意味ではありません。また、あくまで予報官の予想なので、絶対にそうなるというものでもありません。
Q.和歌山市の気温はどこで測っているの?
A. テレビや報道などに出てくる「和歌山市の気温」は和歌山地方気象台で観測した値です。その他、和歌山市内では友ヶ島でも気温を観測しています。
Q.1カ月後に大切な予定があるのですが、その日の天気は分かりますか
A. 残念ながら、1カ月後の特定の日の天気を「晴れ」「雨」と断定して予報することはできません。1週間より先になると、日々の天候を左右する高気圧や低気圧の位置などを十分な精度で予測することが困難となるためです。毎週木曜に発表される「1カ月予報」では、「向こう1カ月間はくもりや雨の日が多い」のように大まかな天候や平均気温、降水量などの傾向を確率で予報しています。
Q.週間天気予報の信頼度は?
A. 3日目以降の週間天気予報で、降水の有無について「予報が的中しやすい」ことと「天気予報が変わりにくい」ことを「A・B・C」の段階で表しています(気象庁ホームページで公表)。信頼度「A」は、明日の予報と同程度の精度です。信頼度「A」のとき、“雨が降る”という予報が、翌日発表の週間天気予報で“雨が降らない”という予報に変わることは、ほとんどありません。一方、信頼度が「C」のときは、雨が降るかどうかの予報的中率が低いか、または翌日に予報が変わる可能性が“やや高い”ことを意味します。
Q.天気予報が外れると苦情がありますか
A. はい。お叱りの電話をいただくこともあり、予報が外れた場合は丁寧にお詫びします。また、必ずしも予報した地域全体で同じ天気になるわけではないことや、雨雲の発生場所を正確に予測するのは困難であることも説明し、ご理解いただくこともあります。
Q.気象庁の発表と民間会社の天気予報の内容が違うのはなぜ?
A. 民間の気象情報会社は気象庁長官の許可を得ているので、独自の判断で予報を発表することができます。さまざまな観測データを元に予想をしますが、その手法は各社により異なります。また、予報のエリアの範囲が異なる場合もあります(例えば、和歌山県北部と和歌山市)。
Q.「エルニーニョ」と「ラニーニャ」を分かりやすく教えて!
A. エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の中央部から南米ペルー沿岸にかけての海域で、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年以上続く現象。逆に同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続くとラニーニャ現象。それぞれ数年おきに発生します。ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、世界中で異常な天候が起こると考えられていて、日本では数カ月後に天候の影響を受けます。
①太平洋の亜熱帯で吹いている貿易風(東風)が弱くなる
②インドネシア近海に蓄積する暖かい海水が東へ広がり、東部の南米沖では冷たい海水の湧き上がりが弱まる
③積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東へ移る 日本ではどんな影響が? 夏季 太平洋高気圧の張り出しが弱くなるので、天気は不順になり、東北地方などでは冷夏となることも 冬季 冬型の気圧配置が弱まり、寒気の入り方が弱くなって暖冬になる傾向があります
Q.天気図の見方を教えて!
A. 黒色の曲線は等圧線で、同じ気圧値のところを結んだ線です。一般的に等圧線の間隔が狭いと風が強くなります。また、前線や低気圧の近くでは天気が悪くなることが多く、高気圧の近くでは晴れることが多いです。冬によく現れる「西高東低の気圧配置」は、日本の西に高気圧があり、東に低気圧がある気圧配置のことで、等圧線の間隔が狭いところでは北よりの季節風が強まることが多いです。このように、等圧線や高気圧の位置から天気の特徴をつかむこともできます。興味のある方は、気象庁のホームページに詳しく解説があるので、見てください。
また同時に、ホームページでは雨雲の動きもリアルタイムに公開されています。今年6月からは、15時間先までの動きが予報されるようになりました(それまでは6時間先まで)。天気図や天気予報とともに見ると、出かけるときや洗濯物を干すときなどに参考になると思います。
Q.台風の進路予想図はどうやって見ればいいの?
A. 現在の台風の中心位置を示す「×」を中心とした赤色の実線の円は暴風域で、風速25m/秒以上の暴風が吹いている範囲を示しています。黄色の実線は風速15m/秒の強風域。また、青色の線は現在までの経路を示しています。
破線の円は予報円で、台風の中心が到達すると予想される範囲を表します。予測した時刻に、この円内に台風の中心が入る確率は70%。予報円の中心を結んだ白色の点線は、台風が進む可能性の高いコースとなります。ただし、必ずしもこの線に沿って進むわけではないことに注意してください。予報円の外を囲む赤色の実線は暴風警戒域で、台風の中心が予報円内に進んだ場合に暴風域に入るおそれのある範囲全体を示しています。
なお、3日(72時間)先も引き続き台風であると予想される場合は、予想進路だけの「5日進路予報」を発表しています。
Q.「平成30年7月豪雨」は、どんな要因で大雨になったのですか
A. 「平成30年7月豪雨」は、西日本から東海地方を中心に、広範囲の多くの観測点で観測史上1位の雨量の記録を更新し、7月上旬の降水量は過去の豪雨災害と比べても極めて大きなものでした。要因は、東シナ海付近からと、太平洋高気圧を回りこむ水蒸気がともに多量で、これらが合流した西日本付近で多量な水蒸気が集中したこと、そして、梅雨前線による上昇流が例年に比べて強く、さらに前線が停滞したために大雨となりました。
Q.この夏前半の天気の傾向はどのようなものでしたか
A. 7月上旬は梅雨前線の活動が活発で、県内でも大雨になった所がありました。ただ、今年は太平洋高気圧が例年より早く強まったため、近畿地方は平年より12日早く、7月9日ごろに梅雨明けしました。梅雨明け後は安定した晴れの天気が多くなっています。特に今年は太平洋高気圧の勢力が強いため、県内では、最高気温が観測史上最高を記録した地点や、7月の第1位となる地点が相次ぐなど記録的な暑さとなっています。
Q.この秋の天気の傾向を教えて!
A. 7月25日発表の3カ月予報では、近畿地方の9月は高気圧と低気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる見込み。気温は平年並みか高く、降水量はほぼ平年並みの見込みです。10月も同じような様子ですが、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。次回の3カ月予報は9~11月の見通しを8月24日に発表します(ホームページで公開されます)。
「特別警報」とは
2011(平成23)年の台風第12号による紀伊半島などの甚大な被害を受け、2013年から発表されている「特別警報」。警報の発表基準をはるかに超える大雨や大津波などが予想され、重大な災害が起こるおそれが著しく高まっている場合に発表されるもので、最大級の警戒を呼びかけます。
特別警報が発表された場合、住んでいる地域は数十年に一度の、これまでに経験したことのないような、重大な危険が差し迫った異常な状況にあります。直ちに地元市町村の避難情報に従うなど、適切な行動を取ってください。また、特別警報が発表されないからといって安心は禁物。大雨などのときは、特別警報の発表を待つことなく、現象の進行に応じて発表される気象情報や注意報、警報を活用して、早め早めの避難を心がけてください。
気象庁マスコットキャラクター「はれるん」も会場にやって来ます
日時 | 8月25日(土)26日(日) 午前10時~午後4時(最終受け付け3時) |
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内容 | 和歌山地方気象台による出張イベント。地震体験車で震度7の地震を体験したり、ペットボトルで雲や竜巻を作ってみる擬似体験をしたり、雨量計、風向風速計の展示や、竜巻発生装置、雨滴浮遊装置の実演も |
会場 | イオンモール和歌山(和歌山市中字楠谷573) 1階サークルコート 地下1階ミュゼプラチナム前 |
参加費 | 無料 ※予約不要 受け付けで整理券配布(整理券持参で優先) |
問い合わせ | 和歌山地方気象台 073(432)0632 ホームページにも詳細が紹介されています https://www.jma-net.go.jp/wakayama/ |
■和歌山地方気象台のホームページ
和歌山県の天気予報 雨雲 土砂災害・浸水害などの危険度分布 ほかリアルタイムにさまざまな気象情報を発信しています
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