現代版の寺子屋を目指して
人とのつながりを深める居場所
高野山のふもと、かつらぎ町新城にある「こどもの寺童楽寺」の住職で、子どもの居場所づくりに取り組む安武隆信さん(写真)が、日本青年会議所が主催する「人間力大賞」の最高賞であるグランプリに輝きました。同時に内閣総理大臣奨励賞、日本放送協会会長奨励賞を受賞。「これを励みに、新たな気持ちで、人と人との〝つながり〞を大切にした居場所づくりに取り組んでいきたい」と受賞の喜びを語ります。
人間力大賞は、国内外で高い志をもって活動する20歳〜40歳の若者を発掘し、応援していこうというもの。今年で28回目を迎え、エントリーした185人の中から、安武さんは最終選考の10人に残り、6月に審査員らを前にプレゼンテーションを行いました。
安武さんは平成19年に童楽寺を建立。長女の誕生をきっかけに、児童が事件に巻き込まれるなど子どもたちを取り巻く厳しい環境に懸念を抱くようなり、子どもたちの教育も寺や僧侶の大切な役割と考え、現代版の寺子屋活動を始めました。和歌山県からの里親認定を受け、主に虐待を受けた子どもたちを受け入れ、一緒に生活しています。また、小学生らが夏休みなどを利用して寝泊まりし、寺での生活を体験する「プチ一休さん体験」や、〝生きにくさ〞を抱えた青年が子どもたちやボランティアと共に生活しながら心身の回復を図っていく「青年の居場所」といった活動なども行っています。
里親活動や子どものお泊り体験
ありがとう、ごめんなさいの心を培う
「寺子屋といっても特別なことはなく、あいさつをしたり、掃除をしたり、そろって食卓を囲んで一日の出来事を話し合ったり、ごく当たり前の生活を送る中で、ありがとう、ごめんなさいの心を培ってもらいたいと思っています」と安武さん。「今の世の中、便利になった反面、心に余裕がなくなり、自信をなくし、悩みを抱えている人が増えていると思います。子どもだけでなく、あらゆる方面で困っている人がいれば、ここでゆっくり過ごし、次へ進むステップの場にしてもらえたら。人と人とのつながりを深めていく居場所を作っていきたい。そしてかかわった人たちが、それぞれの場所で居場所づくりを広めていってくれれば」と話していました。
問い合わせ | 童楽寺 |
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電話 | 0736-26-0855 |