第8回 紀州三大祭り

地域の風物詩、田辺祭、粉河祭、和歌祭

笠鉾の上屋に人形を乗せ、下屋でおはやしが演奏されます(田辺祭)

ひげこで全体が覆われただんじり(粉河祭)

大勢にかつがれ、勢いよく進む神輿(和歌祭)

和歌山県内の神社や寺院では年間を通して大小さまざまな祭りが行われています。その中でも、「紀州三大祭り」といわれているのが「田辺祭」「粉河祭」「和歌祭」です。

「鉄道が開通した明治末期~昭和初期、当時の観光は神社仏閣への参拝が中心。地域の祭りも観光資源の一つとされる中で、“紀州三大祭り”といわれ始めたと考えられます」と話すのは、和歌山県文化遺産課の蘇理(そり)剛志さん。祭りの見どころを伝えます。

夏の風物詩となっているのが、田辺祭と粉河祭。

田辺祭は闘鶏神社の例祭で、各町の「おかさ」と呼ばれる8基の笠鉾(かさほこ)を出して町中を巡るにぎやかな祭りです。蘇理さんは「田辺は江戸時代、紀州徳川家の付家老・安藤家が治めた城下町。武家や町人の間で広まった芸能文化が祭りに表れています」と説明。笠鉾の上屋に町の守り神である人形を乗せ、その下で笛・太鼓・三味線の粋で軽妙なおはやしを奏でます。夜、笠鉾のちょうちんの明かりが町を流れる会津川に映り、一帯は幻想的な雰囲気に。その中を人々が行き交います。

粉河祭は西国三十三所第三番札所粉河寺の鎮守、粉河産土神社の祭礼で、商店が並ぶ「粉河とんまか通り」を何百人もが連なって練り歩く渡御式と、通りを勢いよく往来するだんじりで知られています。

渡御式の役割は、村単位などでつくる座・講といった組織が分担。今も変わらず継承されているのが、行列の先頭を赤い衣装の稚児が馬に乗って進む「栗栖の一つ物」です。「祭りが近づくと、使者がかつての粉河寺領、栗栖(和歌山市)まで参加をお願いに行く習わしが残っています。粉河までの道のりは30キロ以上。交通網が整備されるまでは馬や徒歩などで長い距離を移動していました」と話します。

だんじりの屋台は、割り竹が弧を描くようにして全体を覆う「ひげこ」が特徴。四方を飾る幕には、雲竜や合戦図の豪華な刺しゅうが施され、経済的に豊かな商人町であったことが伺えます。

新緑の5月、和歌山市の和歌浦を舞台に行われるのが和歌祭。「奇抜な出し物や踊りで観客を喜ばせたり、驚かせたりすることから、“風流(ふりゅう)の大祭”とも言われます」と蘇理さん。江戸時代から続く、徳川家康をまつる紀州東照宮の大祭で、勇壮な神輿(みこし)おろしと、当時の人々の様子を再現した渡御行列で構成。渡御は、いくつかの組に分かれて、演技や踊りなど約50の演目を披露しながら、神輿に華を添えます。

歴史を知ることで、いつもの祭りがぐっと身近に感じれるかもしれません! 次回は8月を予定

【祭り情報】田辺祭

開催日 7月24日(火)、25日(水)
問い合わせ 0739(26)9929田辺観光協会

【祭り情報】粉川祭

開催日 7月28日(土)、29日(日)
問い合わせ 0736(77)2511紀の川市観光振興課

※今後、協会と市のHPで詳細が掲載されます

コーナー

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山11月30日号「和歌山県、旬の魚を訪ねて漁港巡り美しい紅白模様で際立つ甘み新鮮な足赤えびが人気の漁港」
     今年度、全国のリビング新聞ネットワークが「さかなをたべよう!」キャンペーンを展開中。リビング和歌山…
  2.  和歌山県の温泉といえば、白浜温泉、川湯温泉などをイメージしがち…。いやいや、和歌山市内にも穴場の名…
  3. リビング和歌山11月16日号「デジタル時代だからこそ 手書きに思いを込めて」
     年末といえば、クリスマスカードに年賀状、今年は手書きで思いを伝えませんか。若い世代に注目を集める…
  4. “遺言”と聞くと、“老後になってから”と考える人が多いのでは。しかし、遺言は生前対策の一つとして、…
  5. リビング和歌山11月2日号「夜空を鮮やかに彩る伝統美県下唯一の花火製造会社」
     和歌山県のものづくり企業にスポットを当てたシリーズ、「すごいぞ! 和歌山の底力」。今回は、花火作…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2024/11/28

    2024年11月30日号
  2. 2024/11/21

    2024年11月23日号
  3. 2024/11/14

    2024年11月16日号
  4. 2024/11/7

    2024年11月9日号
  5. 2024/10/31

    2024年11月2日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る