球根から育つ花たち バルバス・フラワー

リビング和歌山5月12日号

 球根から咲く花といえば、チューリップやムスカリ、ヒヤシンスが有名。仕込むのは秋冬、開花は春のイメージがありますが、これからでも楽しめるものもたくさんあります。今の時期に植えて、夏に花を咲かせる球根の寄せ植えや、初夏に見ごろを迎えるササユリについて紹介します。

無骨な球根に栄養を溜めて
鮮やかで可憐な花を咲かせる

チューリップやカラー、ダリア…今、球根から育つ花「バルバス・フラワー」に注目が集まっています。子どものころ、透明のポットでヒヤシンスの水耕栽培を体験した人も多いのでは。ポットやグラスでの栽培は、成長の過程も楽しめるので、インテリアとして取り入れている人も増えています。

ゴツゴツした球根から、鮮やかでかわいい花が咲くというギャップが、バルバス・フラワーの魅力の一つ。生育が難しい時期には休眠し、適した環境になると育ち始めます。球根そのものにたっぷりと栄養が内包されているので、肥料などを必要としない物が多いのも特徴です。

これから育ててみたいという人におすすめ、球根の植物をメインにした「ダブルデッキ」という寄せ植えの方法を、「ガーデナーズジャパン」(海南市南赤坂)の中野誠介さんに聞きました。また、初夏には、日高川町で球根植物であるササユリが見ごろに。栽培に取り組む「バイオセンター中津」(日高川町高津尾)のセンター長・小早川勇さんを訪ねました。

見て、育てて楽しむ球根の花

要点を押さえると初心者にも簡単
かわいい寄せ植えにチャレンジ

今から植えるのにおすすめしたい球根は、グラジオラスやカラー、グロリオサ、ジャーマンアイリスなど。開花時期の異なる植物を、2段に植え込む「ダブルデッキ」に挑戦してみましょう。 球根の花が顔を出すまでの間も楽しめます。

今回は、ラウンド型のプランターを使用。ガーデナーズジャパンの中野誠介さんは、「育った花の高さをイメージしながら植えていくとうまくいきます」と話します。ポイントを押さえれば、初心者でも簡単にかわいい寄せ植えが完成!

「植えたては水をやさしくたっぷりと。2、3日たつと、全体がなじんできます」

同店は、ガーデニングブランド「つくろう」をプロデュース。ホームページでさまざまなガーデニングレシピや雑貨の情報を発信中(下記参照)。ぜひ参考にしてみて。

球根の花と競演するまでも楽しめる寄せ植え。球根と一緒に植えたのは、エレモフィラ・ニベアやバコパ、ユーフォルビア

球根の花と競演するまでも楽しめる寄せ植え。球根と一緒に植えたのは、エレモフィラ・ニベアやバコパ、ユーフォルビア

ダブルデッキの方法

ダブルデッキの方法右記の球根をひそませます。カラーは40㎝、グロリオサは1m、他の花は1.5倍ほど成長することを想定して植え込みます。球根と花の他、プランター、ショベル、土、肥料、小石、水ごけを準備。


ダブルデッキの方法1
直径30cm以上のプランターを使います(写真は37cm)。高さの2割程度まで底石を入れ、半分の位置まで土を入れます。


ダブルデッキの方法2
肥料を振りかけた後、花の咲く位置をイメージしながら、球根を配置。背の高い球根は、少し後ろの方に植えるとかわいく仕上がります。


ダブルデッキの方法3
プランターの7分目あたりまで、球根の上から優しく土をかぶせます。その後、他の花のために、さらに肥料をふりかけます。


ダブルデッキの方法4ダブルデッキの方法4-1
寄せ植えの花は、背の高いものを中心に置き、対角に配置。垂れるものはふち周りに。ムレを防止するため、苗の茎元の葉や土を取り除いておきます。苗底の根はほぐすか、十字にハサミを入れて。


ダブルデッキの方法5ダブルデッキの方法5-1
苗の隙間に、指で押して容量を確認しながらしっかりと土を。水をあげたとき、土が流れ出てしまわないよう、“ウォーター・スペース”をとって。大きい鉢は第2関節、小さい鉢は第1関節分。


ダブルデッキの方法6
仕上げとして、土が流れ出るのを防ぐため、周囲に水ごけを。高温多湿な関西では、真ん中に入れるとムレの原因になるので避けて。今の時期は、午前中か夕方に水やりをしてください。

店名 ガーデナーズジャパン
住所 海南市南赤坂3-3
店名 073(482)3333
営業時間 月曜~金曜午前10時~
午後5時半(土・日曜は7時まで)
休日 木曜
URL https://tsukurou-tsukurou.com

ササユリ1万輪が咲く公園を目指して
バイオテクノロジーで球根を生産

りんとした姿と、豊かな香りが特徴のササユリ

りんとした姿と、豊かな香りが特徴のササユリ

ササユリは、西日本各地の野山に自生する、日本固有のユリ科の植物。色は白~濃いピンクで、淡いピンクの花が多く咲きます。可憐な姿と独特の良い香りで、とても人気が高いのだとか。

バイオセンター中津 センター長・小早川勇さん

バイオセンター中津
センター長・小早川勇さん

「昔は野山に群生していましたが、環境の変化によって数が激減しています」と話すのは、バイオセンター中津の小早川勇さん。樹木の伐採や、山の管理をしなくなったこと、イノシシなど害獣による被害、人による乱獲などが、その数が減っている主な理由です。

ササユリは成長するまでに6~7年かかり、病気や虫の被害に弱いため、生育が非常に難しいとされています。同センターは、バイオ技術を使って、ササユリを短期間で生産。ビンの中に水、肥料、砂糖を入れ、無菌状態の中で球根を培養し、日高川町の新しい特産品として、増殖を進めています。

ビンで培養されるササユリの球根

ビンで培養されるササユリの球根

さらにササユリを地域活性につなげようと、2014年、「みやまの里森林公園」(日高川町初湯川)を“日本一のササユリの咲く公園”にするため、有名な藤棚ロードの周辺に2700球の球根を植栽。翌年、推定1500~2000輪が咲き誇りました。その後も、害獣による食害などと戦いながら毎年活動が続けられ、今年は700~800輪が開花予定です。小早川さんは、「将来的には、1万輪のササユリが咲く公園にすることが目標です」と。

今年の見ごろは5月末~6月初旬。開花状況など詳しくはみやまの里森林公園に問い合わせを。また、バイオセンター中津は、11月~翌1月に植えつけるための、ササユリの球根を販売。現在予約を受け付け中(来年1月頃まで、なくなり次第終了)。詳しくは同センターのホームページへ。群生を眺めるだけでなく、ぜひ栽培にもチャレンジしてみて。

バイオセンター中津で育てられたササユリ

バイオセンター中津で育てられたササユリ

名称 リフレッシュエリア
みやまの里森林公園
住所 日高川町初湯川202
店名 0738(57)0241(美山温泉愛徳荘内)
営業時間 午前8時半~午後5時
料金 小・中学生200円、大人500円

名称 バイオセンター中津
住所 日高川町高津尾1052-1
店名 0738(54)0095
営業時間 午前9時~午後5時
休日 土・日曜、祝日
webサイト http://www.zd.ztv.ne.jp/bio01/kyuukonnhannbai.htm

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