素人が主演の波乱万丈
ドキュメント番組とは?
数年前、ファミレスで台本を書いていると、隣の席の女性が電話をしながら、急に泣き出した。そして、電話を切るや否や、一番高いステーキを注文し、満面の笑みに。恐らく、それはうれし涙で、良い知らせだったのだろう。それを目の当たりにし、「これを番組でできないか?」と企画書を書いたことがある。人のちょっとしたターニングポイントや人生を浮き彫りにする番組。この時は、「人探しが大変」という理由で企画はボツに。それから数年がたち、切り口は違うが、よく似たコンセプトの番組が他局で誕生した。「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ和歌山・水曜夜9時)。終電を逃した人に声をかけ、タクシー代を払う代わりに、家へあげてもらう。ただ、それだけのことだが、自宅に行くことで、その人の人生を深掘りし、喜怒哀楽のドラマを見つけ出す。取材対象者を探すのも大変だし、人件費も膨大にかかるのだが、それをやり切っているのは偉い。と同時に「やられた~」と嫉妬もした。僕の企画書が先に通っていれば、それこそステーキを頬張っていただろうに。
※次回は5月12日号に掲載
文:岡内義人
読売テレビ「す・またん」「かんさい情報ネットten.」「土曜はダメよ」、ABCラジオ「桑原征平 粋も甘いも」などの番組構成を担当中
関連キーワード