このゆきだるま だーれ?

このゆきだるま だーれ?

抱きしめたいほどかわいい絵本!
リズム感あふれる言葉と響き合う絵

コンサート会場でのYさんは入場から着席まで流れるような身のこなしでした。きちんと折り畳んだコートを膝に置き、その上にパンフレットとバッグを重ねて静かに開演を待っています。コートは歩きながら畳んだのでしょうか。比べて私、グチャグチャのコートとバッグを両手に抱え、イスの間に落としたパンフレットを拾おうとしていらぬ音を出し、周囲ににらまれています。いつもこう、せっかちに整頓能力の低さがプラスされて、常にアタフタ。

友人の子どもたちとお絵描きをした日も、塗るのに夢中になりすぎて色鉛筆が散乱してしまい、「使っていない色はケースに戻してね」と注意されるほど(5歳児に)。

反省をこめてYさんに、「どうしたらそういうふうにできるの?」と聞いたら、「1歳から5歳まで同じことを同じように繰り返すと生活習慣が身に付く」と教えてくれました。ちなみにYさんは現役の保育士で、彼女が勤める園の収納棚は、畳まないことには入らない(収納できない)仕組みになっているそうです。

『このゆきだるま だーれ?』( 出版= 福音館書店、文/岸田衿子、絵/山脇百合子)は『ぐりとぐら』の絵でおなじみの山脇百合子さんと岸田衿子さんがタッグを組んだスペシャルな作品です。「ちらら ほらら ひらら はらら ゆきが ふるふる」日に、もみちゃんが動物たちとソリ滑りを楽しみ、「ころん すとん ぶー」とブタさんが、「すってん ころん わん」とイヌさんが雪の上を転び、雪だるまになります。リズム感あふれる言葉とかわいい絵が響き合って、小さな雪の世界をつくっています。青や黄やピンクの線でくくられた絵と配置が工夫された文字。とりわけ子どもの胸にピッタリと収まる絵本の大きさ(約16×21センチ)が魅力です。

近ごろは「大人数でもよく見える」との理由からか、多くの絵本が大型化されて読み聞かせ会で人気です。お話にふさわしい本の大きさ、絵、構図と線、紙の風合いなどが損なわれるようで残念でたまりません。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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