「下町ロケット」と「オトナ女子」
勝敗を分けた理由とは?
名作ぞろいの今期冬ドラマ。特に、阿部寛演じる町工場の社長が巨大企業に立ち向かうドラマ「下町ロケット」(TBS)は大ヒット。一方、40代女性の恋愛を描いた篠原涼子主演「オトナ女子」(フジ)は、今一つ伸び悩んでいる。お互い前評判は高く、主演も申し分無いのに、この差は?鍵を握るのは共感度。「下町ロケット」は働く男性層が自身の仕事と投影させやすい物語。下請けの苦悩、親会社からの無理難題など、社会人なら一度は経験したことのある話ばかり。ところが、女性層を狙った「オトナ女子」は、主役に隙が無さすぎる。細身のスーツに髪形、メイク、ネイルも完璧。つまりはリアリティーが無いし、生活感も無い。他の主要人物も、短所までもカッコよく見えてしまう俳優ばかり。トレンディードラマ全盛期なら、憧れの視点で見るが、これでは今の時代とマッチしていない。これからのドラマは、視聴者がいかに自己投影できるかがポイントとなる。僕も「下町ロケット」を見て、下請けが大企業に物申す姿に、思わず興奮した。僕の現実ではあり得ないけど。
文:岡内義人
読売テレビ「す・またん」「かんさい情報ネットten.」「土曜はダメよ」、ABCラジオ「桑原征平粋も甘いも」などの番組構成を担当中。
※次回は年末年始号に掲載
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