クリスマスのおかいもの

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みんながみんなのために
心を込めたプレゼント!

グラナダ(スペイン)で暮らしていたある年のクリスマスイブ、大家さんちのホームパーティーに招かれました。参加者は大家さんご夫婦と娘さんご一家、2人の息子さんとフィアンセ、それに私と亭主と友人のTさんです。

自家製のワインがたるごと振る舞われ、生ハムがふんだんに出てきたのですが、スタート20分で私はもはやギブアップ。前菜だけでおなかがいっぱいになり、アルコール度数が高かったのでしょうか、2、3杯のワインでベロンベロンに酔っぱらってしまいました。

「洋子待ちなさい!これからがメーンなのよ」というセニョーラの声を無視して一目散にわが家へ逃げ帰り、ベッドへダイブ。「クリスマスが終わるまで眠り続けた」という私の話は、当時のグラナダに住む日本人の間で語り草となりました。

『クリスマスのおかいもの』(出版=講談社、たしろちさと/作)は、ちょっと違った切り口でクリスマスを描いています。12月には必ずクリスマスの絵本を読むのですが、毎年のことなのでそろそろネタも尽きたと思っていたころに見つけた作品です。裏表紙の木を彫るキツネにひかれ、きれいな色だとページをめくるうちに、描かれたつんつく村の商店街がグラナダの店々に似ていることに気付きました。とりわけ食料品店とパン屋さんが、商品の配置も配色も驚くほどそっくりです。路地があって、店々が入り組んでいて、散歩に出れば必ず知り合いに会うような小さな町でした。

もみのきマンションにはウサギのはなちゃん、キツネのこんくん、アヒルのがあおくん、リスのりすこちゃんが住んでいて、みんな仲良し。クリスマスの日にはそれぞれにすてきなプレゼントを用意します。

「一年のうちで一番好きなのはクリスマスで、その日に向かって変わっていく街の様子や、わくわくドキドキしながらクリスマスの準備をするのが大好き」という作者の思いがあふれた絵本です。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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