6月1日は世界牛乳の日 ミルクをモゥ~っと

6月1日は国際連合食糧農業機関(FAO)が定める「世界牛乳の日」。栄養成分がバランス良く豊富に含まれる牛乳ですが、近年、若者の“牛乳離れ”が叫ばれています。地元のおいしい牛乳を“モゥ~”っと“ギュ~”っと飲みませんか?

戦後の日本人の“栄養源”だった牛乳
1996年をピークに消費減少

皆さん、最近、牛乳を飲みましたか?牛乳は、独特の味わい、においで好き嫌いが真っ二つに分かれる飲み物の代表格といっても過言ではありませんが、学校給食で誰もが一度は飲んだことがある飲み物でもあります。

日本に牛乳が伝わったのは飛鳥時代とされ、かつては身分の高い人たちに嗜好(しこう)品、薬・栄養食品として珍重されました。庶民の飲み物となったのは明治時代、文明開化後。とりわけ第2次世界大戦後、米国の救援食料である脱脂粉乳が学校給食に導入され、さらに、食生活の欧米化により広く飲まれるようになりました。

牛乳消費量は、国民の所得向上とともに1990年代まで増加の一途をたどり、農林水産省の牛乳乳製品統計調査によると、「牛乳等生産量」のピークは96年の505万キロリットル。しかしながら、2015年には345万キロリットルまで減少しています。

ではなぜ、人々は牛乳を飲まなくなったのでしょう。消費量に関しては、少子化や人口減少も大きく影響していますが、飲料市場の多様化に加え、“飽食の時代”となった今、牛乳の栄養価に着目する人が減ってしまったのかもしれません。

下記では“和歌山の牛乳事情”を調査しています。

和歌山の牛乳事情を徹底調査

和歌山県の飼養乳牛は620頭
大手メーカーとの違いを出すために


農林水産省の畜産統計によると現在、全国で1万7000戸の酪農家が、134万5000頭の乳牛を飼育。うち和歌山県は10戸・620頭で酪農家数も乳牛飼養頭数も全国最下位です。東京都、大阪府よりも少ないのは驚きですよね。

ちなみに、乳牛を育てて乳を搾り〝生乳〞を提供するのが「酪農」、生乳を牛乳・乳製品などの製品にして販売するのを「乳業」といいます。和歌山県で、酪農から乳業まで一貫して手掛けるのは、「黒沢牧場」「木村牧場」「尾鷲牧場」「天満牧場」の4社。「黒沢牧場」は観光牧場で少々特異ですが、他の3社は、牛舎で牛を育て、昔ながらの〝牛乳配達〞を生業(なりわい)としています。

「尾鷲牧場」の代表・尾鷲晃さんは、「流通網が整備され、ナショナルブランドのパック入り牛乳がスーパーでいつでも買えるようになり、われわれのような地元の小さな個人店は本当に厳しくなりました。価格競争では太刀打ちできません」と話します。

ところで皆さん、当たり前のことですが、乳牛といえども、子どもを産んだ後の雌牛でないとお乳が出ないことはご存じですよね?

酪農家は、飼っている乳牛を人工授精で計画的に妊娠、出産させて、一定の搾乳量を保っています。日本で乳牛といえば99%が白黒模様のホルスタイン種ですが、ジャージー種やブラウンスイス種などを育てて生乳に特色を出したり、牛乳消費の減少に伴い、和牛など肉牛の肥育に取り組んだりしているところもあります。

さらに、市販されている9割近くの牛乳は、120℃〜150℃で1〜3秒加熱する「超高温瞬間殺菌」という手法で殺菌されていますが、先に紹介した4社は、自社の生乳を手間暇かかる「低温保持殺菌」「高温保持殺菌」で牛乳に。

6月は牛乳月間、〝ひと味違う地元の牛乳〞を味わってみてください。

全国でも珍しい、広大な敷地で1年中放牧する「周年放牧」で、ホルスタイン27頭、ジャージー7頭を飼育。昨夏、約20年ぶりにオリジナル牛乳の販売を復活させました。「昔は一升瓶(びん)に入れて売っていたのですが販売を中止。その後も、生乳は乳業メーカーに卸し、ソフトクリームは自社で加工販売していましたが、『あの牛乳が飲みたい』という声が多く、衛生基準を満たす自社工場を作って、再開に踏み切りました」と、ミルク工房長の上芝舞子さんは説明します。

「黒沢牧場やさしい牛乳」(200㎖200円・900㎖750円)は、65℃で30分かけて加熱殺菌(低温保持殺菌)。「濃くて甘味が感じられるのが特徴。低温で殺菌しているので臭みがなく、後味すっきり」と。「和歌山マリーナシティ紀ノ国フルーツ村」(和歌山市毛見)、「花山温泉」(同市鳴神)でも販売。


電話 073(487)3127
住所 海南市上谷255-2
営業時間 ミルク工房=午前10時~午後4時
定休日 水曜
駐車場 あり
料金 入場料大人400円、3歳~中学生200円
ホームページ http://9638farm.com/


京奈和自動車道かつらぎ西インターチェンジ近くの住宅街にある牛舎で、20頭あまりのホルスタインを飼養。木箱に八角瓶入りの牛乳が並んでいるのはなんともレトロ。4代目の木村貴人さんは、「設備も製法も味も昔から変わりません。生産量は減りましたが家族経営で、コクのあるまろやかな牛乳を作り続け、和歌山市や岩出市のスイーツ店でも使っていただいています」と言います。

「木村牛乳」(180㎖100円瓶代プラス30円・900㎖380円瓶代プラス100円、直営店販売価格)は、75℃で15分の加熱殺菌(高温保持殺菌)。「かつらぎ温泉八風の湯」(かつらぎ町佐野)でも味わえます。お風呂上がりに“至福の一杯”をぜひ。

かつらぎ西PA(下り線)のソフトクリームは、木村牧場の牛乳を使用(300円)

テレビや雑誌で取り上げられ、話題の「シエスタチーズケーキ」(店頭価格1620円)。地元の厳選素材が使われているのは有名ですが、木村牧場の牛乳も原材料の一つ
http://www.w-siesta.com/

電話 0736(22)1721
住所 伊都郡かつらぎ町笠田中357
営業時間 人がいれば販売に対応
定休日 不定休
駐車場 あり


太平洋を見下ろす牛舎で、ホルスタイン14頭、ブラウンスイス6頭を育てています。「10年ほど前、福祉団体からモッツァレラチーズを作りたいと相談され、ブラウンスイスを導入。ホルスタインより乳量は劣りますが、高タンパク・低脂肪で、ゆくゆくは牛種別の牛乳を販売できればと考えています」と説明するのは、代表の尾鷲晃さん。

「尾鷲牛乳セレクト濃厚」(1ℓパック330円、直営店販売価格)は、出産後約2カ月までのホルスタイン&ブラウンスイスの生乳を混合して、65℃で30分かけて加熱殺菌(低温保持殺菌)。牛乳本来のおいしさが生かされ、独特の風味が口に広がります。「産直市場よってってイオンモール和歌山店」(和歌山市中字楠谷)で購入可。

電話 0735(62)0447
住所 東牟婁郡串本町高富805-1
営業時間 直営売店=午前11時~午後8時
定休日 不定休
駐車場 あり
ホームページ http://www.owashi-farm.jp/sub06.html

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