150年の伝統を継ぐ金山寺味噌
「プレミア和歌山」の最高賞に
- 2022/4/14
- コーナー
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風情のある古い街並みが残る湯浅町の重要伝統的建造物群保存地区。その一角に江戸時代末期(1873年)からのれんを掲げる金山寺味噌の醸造元「太田久助吟製」があります。大量生産や機械化が進む中、手作業にこだわり、150年。昨年3月、6代目当主に就任した平野浩司さん(40)が、先代たちが守り続けてきた味を受け継いでいます。
実は平野さんは元会社員で、店は妻・智子さんの実家。「義理の両親が自分たちの代で店をたたむと話しているのを聞き、”この味を途絶えさせてはいけない”と、3年前に弟子入りしました」と経緯を説明します。金山寺味噌は、米、麦、大豆を糀(こうじ)にし、刻んだ夏野菜を混ぜて熟成させたもの。同店の金山寺味噌は、大きめに刻んだ野菜の食感と、米の分量を増やすことで引き出した甘みとまろやかさが特徴。1回の仕込み作業に4日間、むろの中で60日~90日間発酵させ、完成します。「温度管理は今も練炭でしているため、発酵具合を調整するのに毎回緊張の連続です」と、平野さんは話します。
そんな中、和歌山県ならではの産品を県が認定する「プレミア和歌山」の2021年度推奨品の最高賞・審査委員特別賞を受賞。伝統の味や製法を守る一方、県内外に販路を拡大するなど、新たな取り組みが評価されました。平野さんは「築180年の蔵で60年以上にわたり酵母菌と向かい合ってきた先代の商品に対する思い、技術に追いつけるよう精進していきます」と意気込んでいます。
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