重度障害者施設を舞台に描かれた
見て見ぬふりをする現実
10月13日(金)に全国ロードショーされる宮沢りえ主演、石井裕也が監督を務めた映画「月」(PG12)も、和歌山県有田市などで撮影されました。
同作は、実際に起きた障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説が映画化され、有田市内の障害者施設・事業所が撮影に協力。重度障害者施設を舞台に職員たちの労働環境、心ない暴力や虐待、そして、社会、個人がそれを“見て見ぬふりをする現実”がこまやかに描かれていて、タブーとされる領域の奥深くへと大胆に踏み込んだ作品です。
映画化を企画したのは、「新聞記者」「空白」など、今の日本社会に鋭利な目を向けた野心的な話題作を多数手掛けてきた映画会社「スターサンズ」の名プロデューサー・河村光庸(みつのぶ)。2022年6月に急逝した河村は生前、「最も挑戦したかった題材」と語っており、直接オファーを受けた石井監督は、「撮らなければいけない映画だと覚悟を決めた」と、当時の心境を振り返ります。
和歌山県でロケが行われたいきさつについて、「撮影に協力いただける障害者施設が和歌山にあったことがきっかけ。実際にその施設を利用している方々にも出演いただいています。また、障害者施設のセットを作り込むにあたり、昨年閉校された初島中学校が利用できるなどの条件含めて、決定になりました」と、河村の意志を継いだプロデュサー・長井龍が話しています。
13日からジストシネマ和歌山で上映。21日(土)午後2時から(会場1時半)、有田市民会館紀文ホール(同市箕島)で、特別上映会も開催されます。特別上映会のチケットは大人1500円、高校生以下1000円(全席自由席)。
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