手紙やビデオレターで
絆を深めて、お互いを訪問
「水」がつなげたのは、好奇心あふれる児童たちと、学ぶ意欲を促す専門家の絆―。紀の川の水源地、奈良県川上村にある「森と水の源流館」の尾上忠大(ただお)事務局長が、和歌山市立雑賀小学校(同市西浜)に9月に来校。4年1組を対象に、出前授業「水ではじまる物語」を行いました(協力=森林環境保全促進和歌山市議会議員連盟)。
尾上さんと4年1組の交流は、暮らしにかかわる「水」について学ぶ社会科の授業から始まりました。川上村の飲料水が贈られ、児童たちは水の感想や質問を書いたお礼の手紙を尾上さんに郵送。それに対し、尾上さんは源流から下流への水の旅や川上村について解説したビデオレターを作成し、児童の質問に答えました。続けてオンライン授業も実施し、児童たちはグループワークを通して理解を深めるうち、「川上村を見てみたい」との思いが募り、同村の社会見学を企画。すると、「私も雑賀小を訪れたい」と尾上さんの来校が決まりました。
「やっと会えたね、尾上さん!」
それまでは映像でしか知らない尾上さんと4年1組が、出前授業で初対面。今まで学んだことを再認識し、「やっと会えたね!」と授業後に尾上さんに駆け寄り、質問攻めにする児童たち。「よく考えられた質問が多く、今までの私の話を熱心に聞いてくれていたことが分かりました。1学期に交流を重ね、こうして直接川上村の話を伝えられてうれしいです」と尾上さんは応えます。児童の一人、安藤愛莉(あいり)さんは「尾上さんは、水や自然が豊かな川上村を誰よりも愛していると思いました。私も川にごみを捨てず、水を大切にします」と笑顔で話しました。
担任の赤松広志教諭は、「社会科で始まった学びを、児童の主体性がより発揮できる総合学習につなげています。今年度は休校もあり、座学中心になりがちでしたが、この交流を通して、人とのつながりを大事に、自ら疑問を持って解決する力を育めれば」と語ります。
出前授業の6日後に児童たちは川上村を訪ね、源流の美しさを五感で受け止めました。今後は、紀の川下流や海について学習する予定。4年1組の川の旅は、まだまだ続きます。
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