これまで詐欺被害といえば「オレオレ詐欺」だったのが、最近では詐欺の手口が多様化し、『特殊詐欺』と呼ばれています。今年になって和歌山県内では特殊詐欺が増加。被害状況と、悪質な手口、詐欺被害に遭わないための防止対策について特集します。
特殊詐欺被害の現状
在宅時間が長い女性が狙われています
和歌山県の2021年中の特殊詐欺の被害は、認知件数59件、被害額は約9000万円。今年は7月現在で認知件数49件、被害額は約7000万円に及んでいます。被害額だけでみると、昨年(1月〜7月)と比べて約2倍増加しています。
被害は60歳以上の高齢者を中心に高い水準で発生し、深刻な状況が続いています(グラフ①参照)。被害における男女比では、女性の方が被害に遭うケースが圧倒的に多く、昨年度59件のうち44件が女性の被害者で、男性の約3倍。女性が狙われています。
これは専業主婦として在宅時間が長いため、犯人からの電話や訪問を受けることが多く、また家計を管理しているため、振り込みも自分でできるからと推測されます。
「多くの被害者は、まさか自分が被害に遭うとは思っていません。自分は詐欺に遭わないと思っていても、優しい口調で誘導してきますので気をつけてください」と話す、和歌山県警察本部生活安全企画課・犯罪抑止総合対策室長の柳本昌孝さん。
特殊詐欺被害認知状況(表②参照)を見ると、これまで身内をよそおってお金を振り込ませる「オレオレ詐欺」のほか、「架空料金請求詐欺」、「還付金詐欺」、「キャッシュカード詐欺盗」などの被害が増えてきているのが現状です。
犯人は市町村職員、警察官、金融機関職員、百貨店店員、家族などを名乗り自宅の電話にかけてきます。詐欺の手口の始まりは電話です(手口の詳細は下記)。
まずは電話を切って!
被害防止で大事なのは相談すること
「電話がかかってきて医療費や保険料の過払い金がありますとか、口座情報、キャッシュカード、ATMなど、お金に関することが出たら、相手の話を信用しないで、まずは電話を切ってください。今日ならまだ間に合うと安心させて振り込みを催促したり、裁判になると脅かしたりと、さまざまな言葉で送金を誘導してきますので、話の途中であっても、とにかく一度電話を切って、家族や警察に相談してください」と、柳本室長は警告。被害防止で最も重要なのが、だれかに相談すること。和歌山県警では24時間電話相談窓口を開設しています。
犯人からの電話を取らなくてすむよう、在宅中でも留守番電話にセットしたり、防犯機能付き電話にするのも対策です。
和歌山県警は地域密着型アイドルグループ「Fun×Fam(ファン・ファン)」を特殊詐欺被害防止広報大使に任命。県警のユーチューブチャンネルへの出演やイベント活動、SNS、テレビを通して詐欺防止活動を展開しています。
さらに、警察官OBの特殊詐欺被害防止アドバイザーが、企業や自治会、老人会などへ「出前講座」(講師派遣・無料)を行い、被害防止を呼びかけています。電話で問い合わせてください。
特殊詐欺被害分析状況(2022年7月末現在)
和歌山北署エリアで発生
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事故に遭ったと金銭要求 オレオレ詐欺
息子や孫になりすまして犯人から電話があります。最初の電話で、風邪を引いて喉の調子が悪いと言ってごまかします。事故に遭ったとか、小切手が入ったかばんを忘れたと言って金銭を要求。
なりすましに騙される 還付金詐欺
市町職員になりすまして電話をかけてきます。還付金という言葉以外には「医療費」、「給付金」、「過払い金」などの場合もあり。コンビニやATMに向かうよう指示してきます。
メールに突然届く手口 架空料金請求詐欺
若年層にも増えています。インターネット事業者などを名乗る犯人から、「有料サイトの利用料が未納です。支払わないと訴訟を起こします」と携帯電話にショートメッセージが送られてきます。
巧みな話術でカードを盗む キャッシュカード詐欺盗
警察官や銀行協会、百貨店などを名乗り「キャッシュカードが不正に利用されているので使えないようにします」と言って、訪問し、カードをすり替えたり、ハサミで切断したりしてカードを盗み取ります。
マッチングアプリ要注意 国際ロマンス詐欺最近増えてきているのが「国際ロマンス詐欺」。主にマッチングアプリやSNS(インスタグラムなど)、インターネット上で知り合った外国人と親しくなり信用し、お金をだまし取られるケースです。 |
相談、問い合わせはこちら
24時間対応相談電話 | 0120(508)878 |
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出前講座の問い合わせ | 和歌山県警察本部生活安全企画課 073(423)0110 |
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