親子で考えたい「デートDV」それってすてきな関係!?

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もうすぐクリスマス。恋人同士が心ときめかせる季節。男女の付き合いをステキな関係にするためにも、相手のことも、自分のことも大切にしてほしい。そのために、知っておいてほしいキーワードが〝デートDV〞です。

女性の5人に1人が被害経験
好きな人に嫌なことを強要されたら?

「付き合っている彼(彼女)に携帯電話のメールをチェックされて、異性の友達とのやり取りにやきもち。二度と話もしないようにと言われ…」。男女の付き合いで、よくありそうな話。「彼(彼女)に嫌われたくなくて、内心は嫌でも従わなきゃいけないかなって思ってしまう」。相手を思うあまり、そんな意識が働いてしまうことも。「付き合っているなら仕方がない」「愛されているから束縛されるのは当然」。さて、それは正しいのでしょうか。

「〝デートDV〞という言葉をご存じですか」。そう問いかけるのは、和歌山県男女共同参画センターの山中浩子所長。「夫婦間のDV(ドメスティック・バイオレンス)についてはずいぶんと認知度が高まってきました。DVとは夫婦や恋人など親密な間柄の中で起こる暴力のこと。つまり、デートDVとは交際する男女の間で起こる暴力のことです」と説明します。

内閣府が20歳以上の男女に行った調査によると、交際相手がいる(いた)人のうち、女性の5人に1人、男性の10人に1人が相手から被害を受けた経験を持つという結果が出ています(下記参照)。「DVは身体的な暴力だけではありません」と話す山中所長。下記では、さらに詳しく解説してもらいました。

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互いを認め合える関係ですか

経験が少ない中高生は意識して
〝嫌な〞思いをしない付き合いを

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「DVといえば、なぐる・蹴るなどの暴力行為はすぐに思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません」と話す山中所長によると、言葉による暴力や相手の行動を制限する束縛、また食事代などのお金をいつも払わせたりする行為もデートDVです(下記参照)。被害者は女性に限らず、男性の場合もあります。

「特に、異性を意識し始める中高生は、経験が少ないだけに恋愛にのめり込み、嫉妬や束縛も愛情と思い込みやすいなど、デートDVに遭う可能性を多く秘めています」とも指摘。最初は軽いDVでも、だんだんエスカレートしてストーカー行為につながったり、別れた腹いせに相手の裸の写真をインターネットに公開する〝リベンジポルノ〞といった犯罪行為につながる場合も。また、強要された性交渉は〝望まない妊娠〞という結果をもたらすこともあります。

デートDVについての認知度を高めるため、県男女共同参画センターは啓発活動に取り組み、その一環として県立高校への出張講座を実施。また、今年度は「りら創造芸術高等専修学校」(海草郡紀美野町)と連携し、デートDV防止啓発劇を創作。来年1月に公演を行います(下記参照)。

親は子どもの様子に気を付けて
何でも相談しやすい関係づくりを

伊田広行さん。DV加害者教育プログラム「NOVA」も主宰

伊田広行さん。DV加害者教育プログラム「NOVA」も主宰


同センターによる出前講座が、11月24日に県立和歌山東高校で実施されました。講師として招かれたのは、神戸大学・立命館大学非常勤講師の伊田広行さん(写真左)。この日は、同校1年生約240人が受講。デートDVの現状や危険性、また教師によるロールプレーイングも交えてリアルに感じ、男女の付き合い方について考えました。

男女交際の中で、こうしたデートDVという概念が生まれてきた背景について伊田さんに聞くと、「一つは人権意識が高まってきたこと。夫婦間のDVについてもそうですが、これまでは見過ごされてきたことが〝これではいけない〞と社会問題化されるような時代になってきました」

一方、問題視されるのは、携帯電話やスマートフォンの普及。「親に隠れて恋愛ができる環境になっています。子どもがどんな様子で交際相手と話しているのか分らない。だから、大変な状況になっても家族が気付かないことが多い。そして、簡単に写真を撮ってインターネットで公開できてしまいます。そのことがDVの引き金になっていることが多いのです」とも。さらに、恋愛の低年齢化も懸念。だからこそ、性やDVについての教育が早い段階から必要だと訴えます。

家庭では、「子どもが交際相手と話している様子に気を配ってほしい」とアドバイス。えらそうな口調で話していないか、逆におびえるように受け答えしていないか。「何より、子どもが相談しやすい関係を築いてほしい」と伊田さん。「異性との交際を頭ごなしに否定するだけでは、子どもは何も話せません。まずはそのことを受け入れ、話に耳を傾けてほしい。親だからこそデートDVの現状を知り、どんな男女の関係が望ましいか一緒に考えましょう。問題が深刻なら、相談機関で話を聞いてもらうことも考慮してください」と話します。

デートDVとは
次のような行為を繰り返し、相手を思い通り支配する行為です

①身体的暴力

なぐる、蹴る、首を絞める、髪の毛をつかんで引っ張る、かみつく、部屋や家から出させない、熱いものでやけどさせる、物を投げつける…など

②言葉の暴力や心理的・精神的暴力

大声で怒鳴る、相手を繰り返し批判したり否定したりする、いつも皮肉や嫌味を言う、にらみつける、友達の前で侮辱する、相手の大切なものを壊したりペットを痛めつけたりする、秘密をばらすと脅す…など

③束縛などの社会的暴力

強い束縛や嫉妬、携帯の着信を勝手に見る、電話番号やメールアドレスを削除する、行動をチェックする、いつも一緒にいるように強要する、家族・友人関係を制限する…など

④性的暴力

相手が嫌がるのに同意なく体を触る、キスをする、性行為を無理強いする、性行為に応じないと不機嫌になったり冷たくしたりする、避妊をしない、ポルノ雑誌やDVDなどを無理やり見せる…など

⑤経済的暴力

お金を払わせる、バイトをさせる、お金を借りることを強制する、借りたお金を返さない、お金を出してえらそうにしたり、嫌なことを強制する…など

もしかして、デートDV!? 簡単チェックリスト

次のやりとりのうち、デートDVだと思うものにチェックしてください。

恋人をなぐったり、物を投げつける
恋人に「バカ」など傷つくような言葉を言う
恋人が他の用事で会えなかったりすると、自分を優先していないといって怒る
怒ると周りの物を蹴る、壊す
しょっちゅう連絡してきて、恋人がどこで何をしているかチェックする
LINE やメールへの返信が遅いと怒る
「おまえにはどうせ無理」などと自信をなくすような言葉を言う
デートの費用をいつも払わさせる
恋人が嫌がるのに体を触ったり、性行為しようとする
携帯電話から、異性の友人の連絡先を消させる

上の10の例はすべてデートDVです。「好きな人を思い通りにしたい」「恋人を独占したい」と思う気持ちが強くなり、相手に無理強いをするようになるとデートDVが起きます


デートDV・性暴力防止啓発公演
平成28年1月24日(日)

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デートDVをファンタジーの世界をモチーフに描いた「恋愛人形と7人の悪魔たち」。演じるのは、りら創造芸術高等専修学校の生徒たち十数人(卒業生も含む)。同校の山上祐輝教諭が、脚本・演出・監督を手掛け、生徒たちの意見も取り入れて物語作りから携わったオリジナル作品。デートDVの特徴的な要素を盛り込み、地獄に落ちた人形と悪魔たちが繰り広げる恋愛物語を通し、どんな恋愛を目指すべきかを問いかけます。「私たち自身がデートDVと向き合うきっかけとなった」と話す出演者の一人。高校生たちのリアルな思いが演技に込められます。

舞台の練習に取り組む生徒たち

舞台の練習に取り組む生徒たち

①デートDV防止啓発講座「デートDVについて正しく知ろう!そして一緒に考えよう!」
原田薫さん(ウィメンズセンター大阪代表)

②デートDV防止啓発劇「恋愛人形と7人の悪魔たち」
りら創造芸術高等専修学校 生徒と卒業生

時間 午後1時半~4時(開場1時)
場所 和歌山県立図書館メディア・アート・ホール(和歌山市西高松1ノ7ノ38)
入場 無料(定員150人)※要申し込み(先着順)
申し込み方法 名前、電話番号、参加人数を電話、メール、またはファクスで下記まで
申し込み・問い合わせ 073(435)5245
県男女共同参画センター”りぃぶる”
FAX073(435)5247
メール e0315011@pref.wakayama.lg.jp

※申込者の個人情報は同イベントの連絡だけに利用


相談窓口 秘密は守られます(相談無料)

りぃぶる相談室

電話 073(435)5246
※祝日・年末年始休み
住所 和歌山市手平2ノ1ノ2和歌山ビッグ愛9階

総合相談

電話相談

火~土曜 午前9時~午後8時半(受け付けは午後8時まで)
日曜 午前9時~午後5時(受け付けは午後4時半まで)

面接相談(要予約・女性だけ)

火~土曜 午前9時~午後5時半(受け付けは午後4時半まで)
日曜 午前9時~午後4時(受け付けは午後3時まで)

男性相談

電話相談

毎月第2水曜 午後4時~8時

和歌山県子ども・女性・障害者相談センター

住所 和歌山市毛見1437ノ218
※年末年始休み
子ども 073(445)5312
午前9時~午後5時45分(土・日・祝日除く)
女性 073(445)0793
午前9時~午後9時半(毎日)

性暴力救援センター和歌山「わかやまmine(マイン)」

住所 和歌山市紀三井寺811ノ1県立医科大学附属病院内
※年末年始休み
電話 073(444)0099
相談・医療 午前9時~午後5時(土・日・祝日は10時まで)
緊急医療 午前9時~午後10時

女性の人権ホットライン

※年末年始休み

電話 0570(070)810
(月~金曜 午前8時半~午後5時15分、祝日除く)

和歌山県人権擁護委員連合会も、デートDVに関する出前人権教室を行っています

和歌山地方法務局人権擁護課 073(422)5131

子どもと家庭のテレフォン110番

※年末年始休み

電話 073(447)1152
午前9時~午後8時(土・日・祝日は午後4時半まで)

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