被災地での体験、経験を生かして⑰

和歌山県キャンプ協会理事・林美由貴さん

非日常の自然の中で生き抜く術を身に付けて

 

もしものときに役に立つ“防災キャンプ”の経験と知識

≪プロフィル≫
和歌山県キャンプ協会理事、和歌山県シェアリングネイチャー協会副理事長。自然体験教育企画「南風舎」主宰。和歌山大学災害科学教育研究センターに勤務

キャンプを通じて子どもたちに防災意識を

和歌山県キャンプ協会理事、和歌山県シェアリングネイチャー協会副理事長を務めるキャンプの達人・林美由貴さんは、野外活動で得られる知識や技を、災害時に役立てる「防災キャンプ」を指導しています。

林さん自身、防災への意識が高まったのは、2008年に起こった岩手・宮城内陸地震がきっかけ。「かつて栗駒山で野外教育の勉強をしていたことがあって、地震直後、何かお手伝いができないかと思って、お世話になった自然学校に駆けつけました。阪神・淡路大震災のときもボランティアで行きましたが、“明日はわが身”と真剣に考えるようになったのは、岩手・宮城内陸地震以降」と振り返ります。

その後は、東日本大震災や紀伊半島大水害、熊本地震などの被災地を訪れ、現在、勤務している和歌山大学の学生と一緒に泥かき作業をしたり、「RQ災害教育センター」の活動としてボランティアセンターの運営に携わったりしてきました。実際に被災地で見てきた経験があるからこそ、災害時に何が役に立つのか、どんな行動が大切なのか防災キャンプを通じて伝えています。

「自然の中で生活することは非日常の世界。テントを張って、電気もガスも使えない中で、調理をして一夜を過ごす…、その体験と達成感は深く印象に残ります」と。「もしも災害が起こったら…。それは子どもにとっても大人にとっても初めての経験。大人が子どものお手本になるわけではなく、子どもも子どもなりにスキルが必要」と林さんは指摘します。

※次回8月11日号掲載

2016年の熊本地震発生から約半年後の被災現場。(左)は避難所の様子、(右)は倒壊したままの家屋

 

林みゆきさんが伝えたい災害時の備え

◆常時の模擬体験が実践に生きる
◆プレート型地震と直下型地震は別物。どちらが起こってもとっさに判断できるよう、“その対策が”何のために”かをあらかじめ理解して行動を

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