被災地での体験、経験を生かして⑯
- 2018/6/14
- コーナー
- 考えよう災害時の備え, 過去の人気連載コーナー
和歌山市職員・田平和之さん、木村豊さん、森栗昌英さん
熊本県南阿蘇村で被災宅地の危険度を判定
2次災害防止のため危険箇所には立ち入らないで
地震や大雨などによる大規模災害が起こった際、被害状況を迅速かつ的確に把握して、宅地の2次災害の危険度を判定する「被災宅地危険度判定」。和歌山県では604人の「被災宅地危険度判定士」が登録されていて、その資格を持つ和歌山市下水道管理課の田平和之さん、公園緑地課の木村豊さん、都市計画課の森栗昌英さんは、2016年5月、熊本県南阿蘇村に派遣されました。
「3人1組で、地図を片手にある地域の宅地を巡り、3日間で合計34件調査しました。擁壁(ようへき)の折損や地盤の亀裂、傾斜などをチェックして、被災程度が小さかったのはわずか4件で、16件が『危険宅地』、11件が『要注意宅地』と判定。3件は土砂で流されてしまって調査不能でした」と森栗さん。田平さんも「われわれが現地に入ったのは地震発生から約1カ月後。その時すでに憔悴(しょうすい)しきっている被災者の皆さんに、追い討ちをかけるように“この宅地は危険”と判定するのが忍びなくて。宅地は個人の財産ですから」と話します。
地震対策として、建築物については、耐震補強で備えることができますが、土地はそうはいきません。「自然の力にはかなわず、地盤は震度によって崩落してしまいます。危険を感じたら、すぐにその場を離れて」と、木村さんは喚起します。
熊本県で衝撃的な現場を見て来た3人は、「和歌山県は、近い将来大きな地震が起こることが予測されています。和歌山市があのような状況になったら…、と想像はしたくないけれど、もしものときに市職員としてできること、被災宅地危険度判定士としてやらなければいけないことを改めて考えるようになりました。家族とも防災について再度、話し合いました」と口々に言っていました。
※次回7月14日号掲載
被災宅地危険度判定士が伝えたい災害時の備え
◆危険を感じたら逃げる。崩壊しそうな建物、宅地には近づかない
◆水や食料の備蓄、家族と合流する避難場所を決めておくなど、“自分の身は自分で守る”意識を持つ
関連キーワード