自然の織りなす造形美 「海藻押し葉」でアート
- 2016/4/21
- フロント特集
アオノリやコンブ、モズクなどの海藻。じっくりと眺めると、色や形の多様性に驚くことも。今回は海藻を押し葉にしたアート作品「海藻押し葉」について紹介。世界に一つだけの作品を作ってみませんか。
海藻が生い茂る〝海の森林〞
自然の造形美を生かしたアート作品
海辺を歩いていると、砂浜に打ち上げられた数種類の海藻を目にします。ワカメやヒジキ、テングサなど、私たちの食卓に並ぶ海藻。海中で生い茂る海藻の群集は〝海の森林〞とも呼ばれ、そこでは魚や貝など、多くの命が育まれています。
海藻は、黄や緑、赤、紫など彩りが豊かであるとともに、繊細なものから大きなものまで形もさまざま。押し花と同じ手法で、自然の造形美を生かし、紙の上で表現する「海藻押し葉」を楽しむ動きが広まりつつあります。
海藻押し葉は、子どもから大人まで手軽にでき、オリジナルのアート作品ができるのが魅力。海辺で遊ぶ機会が多くなるこれからの季節におすすめです。
ここで少し、海の環境についても触れてみましょう。
「海藻は海の生態系の中で重要な役割を担っています。よって生息する海藻を調べることは、その海の生態系や環境を知るための指標になります」と話すのは、串本海中公園センターの研究員・中村公一さん。
下記では、中村さんに海藻押し葉の作り方をはじめ、海藻の種類や海での役割などを教えてもらいます。海藻押し葉を通して、環境について考えるきっかけにしてみては。
“海の森林”にようこそ!
海藻と海の魅力を考えるQ&A
Q. 海草と海藻の違いって?
海中には、“うみくさ”と呼ばれる「海草」と「海藻」の2種類があります。海草は、陸上の植物と同じで、根・茎・葉に分かれていて、根から養分を吸収。花を咲かせ、種子を作ります。一方、海藻は、根・茎・葉の区別はなく、花は咲かず、種子も作りません。根は「仮根(かこん)」といい体を固定するためだけのものです
Q. 藻場が少なくなっているって本当?
本当です。海藻は水温が低くなる秋から春にかけて成長し、水温が高くなる夏に枯れてしまいます。なので温暖化の影響で水温が高くなると、藻場が形成されにくくなります。でも原因は温暖化以外にも海藻をエサにするウニやアイゴなどの食害、海藻同士の競合など、いろいろと考えられます
Q. 藻場を守るため私たちにできることは?
海藻は自然環境の変化を知るための指標でもあります。一度壊れた藻場の回復は難しいのが現状。まずは自然環境に目を向け、“ゴミを捨てない”という小さなことから始めてみましょう
Q. 海藻の種類は?
日本には約1500種の海藻があり、①アオノリやウミブドウなどの「緑藻(りょくそう)」、②ワカメやモズクなどの「褐藻(かっそう)」、③トサカノリやテングサなどの「紅藻(こうそう)」に分かれます。海藻に含まれる色素によって緑や赤、紫など色の違いが見られます
Q. 私たちの身近で海藻は何に使われているの?
アイスクリームやゼリーの他、シャンプーやリンスなどにも使われています。粘り気があるので、昔は接着剤にも使われていたそうです
Q. 和歌山県沿岸で見られる海藻は?
陸地が縦に長い和歌山県。北部と南部で水温が違うため、生息する海藻の種類も違います。北部ではワカメを代表とする温帯種が、南部では亜熱帯性の小型海藻類が多く見られます
海藻押し葉のつくり方
※海藻の中には漁業的に有用な種もあります。
家庭でつくるために海藻を集める際、そのような種を採らないように注意しましょう!
【参加者募集】海藻押し葉 一日体験教室
串本海中公園センターの研究員・中村さんによる「海藻押し葉一日体験教室」。海の話も聞けるかも!
日時 | 5月28日(土)①午前11時〜12時、②午後2時〜3時 |
---|---|
場所 | リビングカルチャー倶楽部フォルテ教室 (和歌山市本町2‐1フォルテワジマ4階) |
定員 | 各10人ほど(最少開講人員5人) |
対象 | 親子(大人だけ、大人同伴で子どもだけでも可) |
受講料 | 1人500円(1人2作品、後日郵送) |
申し込み・問い合わせ | 073(428)0281 和歌山リビング新聞社(月曜〜金曜午前9時半〜午後6時半 ※祝日除く) |
申し込み締め切り | 5月2日(月) ※応募者多数の場合は抽選 申し込みの際、希望の時間(①もしくは②)をお聞かせください |