紀の国わかやま文化祭 未来へつなぐ人 vol.03
腹の底から響かせる民衆の唄「民謡」
復活、6年ぶりに国文祭で披露
- 2021/7/15
- コーナー
- 紀の国わかやま文化祭未来へつなぐ人
独特の節回し、腹の底から響かせる声―。民衆の唄ともいわれる「民謡」は、労働や祭り、祝いの様子などを口ずさみ、音や踊りにのせて伝承されてきました。唄からは当時の人の姿や生活の情景が目に浮かび、時に大声で笑い、時にホロリと涙することも。
和歌山県民謡連合会の藤原梨江さん(写真)は、「日本全国の土地に根付いた民謡があり、各地で開かれる大会などを通じてうたい、伝えています。私たちは“有田みかん摘み唄”をうたいながら、ミカンを配るといったパフォーマンスで地元自慢をすることもあります」と満面の笑顔。持ち前の明るさとガッツで、唄、はやし、三味線、太鼓、鼓、踊りをこなし、師匠でもある母・眞千子さんの背を追います。
県内には約600曲の民謡があるとされ、そのうち100曲余りがうたい継がれています。聞きなじみのある「串本節」や「紀州おどり ぶんだら節」もその一つ。しかし、音源として残された曲はそう多くありません。そこで同会は2005(平成17)年から16(同28)年にかけ、CD「紀州民謡」を制作。61曲を楽譜にしてうたい、収めました。
国文祭で「民謡・民舞の祭典」が開かれるのは6年ぶり。藤原さんは「民謡を知り、聞いてもらいたいです。そのためには、待っているだけではなく、自分たちから動かなければ」と話します。
同会は現在7団体でつくられ、幼児から90代約320人が在籍。1981(昭和56)年の結成から丸40年、後継者が育っています。
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