病気や事故など、脳の損傷で起こる「高次脳機能障害」。障害の分かりづらさなどから、あまり社会で理解されていないというのが現状です。原因や症状などについて、和歌山県立医科大学で聞きました。
リハビリを続けていくことが大切
人間の脳は、運動、感覚、言語、記憶など、さまざまな機能が備わり、場所によって働きが決まっています。しかし、病気(脳卒中、脳腫瘍)やけが(交通事故、転倒・転落)、低酸素脳症などで、脳の一部が傷を負うと、うまく機能しなくなり、日常・社会生活に支障をきたすことがあります。これを「高次脳機能障害」といいます。
「損傷した原因、場所、大きさによって、症状の表れ方が一人一人異なります」と話すのは、和歌山県立医科大学リハビリテーション医学講座・幸田剣准教授。主な症状としては、失語症、失行、失認、遂行機能障害、行動情緒障害など。(下参照)。「けがが原因の場合は、遂行機能障害、注意障害、記憶障害、行動情緒障害が起こりやすいとされています。また、いくつかの症状が表れる場合もあれば、症状が表れない場合もあります」と説明します。
高次脳機能障害は、食事などの日常動作はできることが多いため、一見、健康そうに見えるのが特徴。幸田准教授は、「本人や家族などが“以前と何か違うな”と思いながらも、何年も経過している人が少なくありません」と伝えます。治療方法は症状に合わせたリハビリです。「病院だけでなく、家庭や社会での活動もリハビリにつながります。続けることで脳の損傷していない部分が、損傷を受けた部分の代わりとなって働き出します。できないではなく、残された力を伸ばしていくことが大切です。“もしかして”と思ったら、まずはかかりつけや脳専門の医療機関を受診してください」と話しています。
2月10日(土)、高次脳機能障害に関する研修会が開かれます。幸田准教授が原因や症状などについて解説。申し込み方法など、詳細はリビング和歌山2024年1月27日号4面に掲載。
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