考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして⑭
- 2018/4/12
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和歌山市消防局・高度救助隊 消防司令補 梶本 敦司さん
国際緊急援助隊救助チームの一員としてメキシコへ
災害時は救助に当たる側
どんな事態にも対応できる準備を
昨年9月にメキシコ中部地震が発生。日本に支援要請があり、政府は消防、警察、海上保安庁、医師らで組織する国際緊急援助隊救助チーム(JDR)を派遣。和歌山市消防局高度救助隊の隊員である梶本敦司さんは、国際消防救助隊の登録隊員であり、JDRの一員として9月21日~28日の期間、メキシコ市で救助活動に当たりました。
「上空から見る限りでは目立った被害がなかったのですが、現場に着くと6階建ての共同住宅が“パンケーキクラッシュ”の状態でした。聞くところによると全壊は約40棟、1985年のメキシコ地震より以前に建てられた建物が被害に遭ったようです」と言います。
目撃情報や災害救助犬の嗅覚を頼りに、生存率が低下するとされる「72時間の壁」を念頭に置き、救助資機材を使って穴を開けたり、がれきを取り除いたりして、要救助者を探しました。結果として、見つかった女性はすでに息を引き取っていましたが、保護した犬は飼い主の元に戻ることができたそう。
初めての海外での救助活動に対して梶本さんは、「緊張や不安はありましたが、いつでも行ける準備と心構えはできていました。海外での救助活動は、日常業務の延長線上にあり、ただ、国際ルールにのっとるということと、初めてチームを組む人たちに時には命を預けるということになりますから、とにかくコミュニケーションを大切にしていました」と話します。
小学生のころ、阪神・淡路大震災で被害に遭った人々を救う消防士の姿をテレビで見て、憧れを抱いたという梶本さん。「今は災害が起こったら、自分は救助に当たる側の人。家族には、絶対にここで合流しようという避難場所を決め、備えています」と。
※次回5月19日号掲載
梶本 敦司さんが伝えたい災害時の備え
・日ごろから考えていないといざというときにとっさに対応できない
・常に備えておくこと、準備しておくことが大事
・日々の訓練の積み重ねがあるからこそ発揮できる
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