考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして⑬
- 2018/3/8
- コーナー
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和歌山大学災害科学教育研究センター・教育研究アドバイザー 中筋 章夫さん
災害に強い地域は、コミュニティーの強い地域
住民にとって防災訓練が楽しい行事に
和歌山大学災害科学教育研究センター教育研究アドバイザーの中筋章夫さんは、自身が住む西山東地区の防災会アドバイザーも務め、「災害に強いまちづくり」に取り組んでいます。
もともと和歌山大学の職員だった中筋さんは、大学の地域貢献事業で防災分野のプロジェクトを立ち上げ、事務局を担当。「それが防災に携わるきっかけとなりました。その後は、学生や職員を引率して、東日本大震災や紀伊半島大水害の被災地を訪れ、現地調査や災害ボランティアに参加しました」と話します。
幾度となく被災地に足を運び、惨状を目の当たりにしてきた中筋さんは、「ワダイの防災カフェ」など数々の講演で、「防災力は地域力」と訴えています。
「結局は“人”なんですよね。災害に強い地域は、コミュニティーの強い地域。しかし、コミュニティーづくりは簡単にはいきませんし、時間もかかります。西山東地区の防災会も、5年前から再編を始め、ようやくカタチになってきました。昨年10月の台風21号で浸水被害が出たときも、住民の力を合わせて災害ボランティアを行い、助け合いました」と言います。
西山東地区防災会は、①防災訓練は、消防局などの外部機関に頼らず住民自ら工夫して行い、必ず炊き出しをする②各部会に女性の副部長を置く③一人一人の役割が明確④小学生の防災マップづくり⑤中学生の災害時要援護者サポート、といった斬新な取り組みで今、注目を浴びています。
「何事も楽しくないと長続きしません。また、防災に興味のない住民を呼び込むには、女性や子どもの力が必要です。まだまだ課題はあるものの、地域住民にとって年一回の防災訓練が、“楽しい年中行事”となっているのは、成果だと思います」
※次回4月14日号掲載
中筋 章夫さんが伝えたい災害時の備え
・意識が高くても行動できなければ意味がない
・災害時は日ごろやっていることしかできない
・行政などに頼らず自分たちの地域は自分たちで守る
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