紀の国わかやま文化祭 未来へつなぐ人 vol.02
舞台を支え、和歌山のオペラをけん引 挑む、「稲村の火」が題材の新作オペラ
- 2021/7/1
- コーナー
- 紀の国わかやま文化祭未来へつなぐ人
イタリア発祥、オーケストラと歌で構成し、総合芸術舞台といわれるオペラ。日本では明治時代にプロ歌劇団が設立されて各地に広がり、1960(昭和30)年代後半以降、市民参加型のオペラが次々と誕生しました。先駆者として和歌山のオペラをけん引してきたのが「和歌山市民オペラ協会」の多田佳世子会長(写真㊨)。「音大生のときに出合い、衝撃を受けました。常に“和歌山でオペラを”という気持ちがありました」と話します。1994年の設立から、出演だけでなく、演出、企画、運営と何役もこなして舞台を下支え。同協会にはプロの音楽家や舞台経験者も多く、道成寺に伝わる恋物語「清姫」や有吉佐和子が浄瑠璃用に書いた「藤戸の浦」など、県にゆかりのある伝説や人にちなんだ創作オペラの公演を軸に全国にその名を響かせてきました。
同文化祭では新作オペラ「稲村の火の物語―梧陵と海舟」を上演。演劇用に書かれた台本がお蔵入りしているのを聞きつけた多田さんが、脚本家に話を持ちかけ、オペラ用に書き換えたもので、「防災の大切さを伝えるためにも、今やらなければ」と、新作に挑む思いを伝えます。
安政南海地震(1854年)で津波から村人を救った故事「稲村の火」で知られる濱口梧陵と、幕末の日本を語る上で欠かせない勝海舟の交流を描いた内容。ピアノ演奏を担う宮井愛子(写真㊧)さんは「梧陵の心の葛藤に注目を」、多田さんは「今までにないオペラにしたいです」。合同練習がいよいよ始まります。
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