節分の鬼って本当は…こわい、やさしい、どっち?
- 2019/1/31
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2月3日は節分。「鬼は~外」「福は~内」の掛け声に合わせて豆をまき、一年間の厄を払う行事が各地で行われます。今回は和歌山県内の節分行事や鬼を取り上げます。
季節の変わり目を意味する「節分」
旧暦の大みそかに行われる行事
「節分はいつ?」と聞かれたならば、たいていは「2月3日!」と答えますよね。でも、本来は季節が移り変わる、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを「節分」と呼ぶので、正確には年4回あるのです。
では、なぜ私たちは2月3日を節分と呼んでいるのでしょう。諸説によると、明治初期まで日本は旧暦で立春を新年(元旦)と定めていたため、前日の節分はちょうど大みそか。新年を迎えるための日として重要視され、次第に節分といえば、この日を指すようになったといわれています。
節分の行事に必ずといっていいぐらい登場するのが「鬼」です。子どものころ、大人から節分の話を聞きながら、牛のような角に吊りあがった目、大きな口、そして定番ともいえるトラ柄のパンツを履いた鬼を想像し、恐れおののいた人も少なくないのでは…。
でも、怖いイメージがあるといっても、思い浮かべる鬼の姿は人それぞれ。昔話では、怒っている鬼がいれば、陽気に踊っている鬼もいます。果たして…鬼の正体は?
和歌山県文化遺産課の蘇理(そり)剛志さんに県内の節分行事や鬼について話を聞くとともに、身近にある“おに”(という名前)が付くものを紹介します。
一年間の厄やけがれを払う行事
和歌山県内でも地域によって特徴が
鬼には「怖い」「強い」「悪い」などといったイメージがつきものです。「日本では古くから、形の見えないもの、何らかの不思議な力を“オン(陰)”と呼んでいたようです。中国大陸から仏教や漢字が伝来するとともに、“オン”と“鬼(おに)”のイメージが重なりました。人々にとって鬼は、形がなく、人間にはない強い力を持った存在として意識されたと考えられます」と話すのは、和歌山県文化遺産課・蘇理(そり)剛志さん。
形のない鬼は、時代や場所によってさまざまな姿となって伝わっており、「日本に残る鬼伝説の中には、怖いイメージだけではなく、神社や寺の祭りで見られるような神や仏の力にコントロールされ、神聖な存在として扱われることもあります」と説明します。
一年間の災いや厄を払い、福を呼び寄せるなど、節分は子どもの頃から親しんでいる行事ですが、地域によって特色があり、和歌山県内でも少しずつ異なります。
紀三井寺(和歌山市紀三井寺)では、本堂前で無病息災を祈る「追儺(ついな)式」が行われます。貫主と福男たちが、勢いよく迫ってくる、人の心に潜む怒りを表す「赤鬼」と、間違った思い込みを表す「青鬼」に向け、豆を投げつけて退治(写真①②)。その後、豆や菓子などをまく「福つき大豆まき」が行われると、参拝者たちは福を授かろうとして懸命に手を伸ばします。
熊野速玉大社(新宮市新宮)では、この日に合わせて、幸福を招くとされる縁起物の吉兆を授与(写真③)。吉兆に付いた小判やサイコロ、カラフルな「もち花」などは、春を呼ぶ風物詩としても知られています。また、正月のしめ縄飾りやお札を焼く神事「どんど焼き(おたき上げ)」も節分行事の一つ。境内に掘られた直径約5メートルの穴に神火が点火されると、飾り物が次々と投げ込まれ、高く燃え上がります。
有田川町清水では、辺りが暗くなるころ、ゴンパチ(イタドリ)の枯れ木でたき火をしながら、串に刺したイワシとダイコンをあぶって無病息災を祈る、「鬼追いドンド」が行われます(写真④⑤)。ゴンパチを火の中に投げ入れると、パンパンという大きな音を出してはじけるので、「鬼払いの火祭り」とも呼ばれています。イワシの頭とダイコンを玄関先に立てておくと、悪鬼を退散させてくれるといういい伝えも。
蘇理さんは「季節感は日本人にとって大切なもの。春の節目を身近な行事に感じ、楽しんでみては」と話しています。
2月3日(日)
紀三井寺
開催時間 | ●どんど焼き、追儺式、福付き大豆まき 午後4時から |
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電話 | 073(444)1002 |
熊野速玉大社
開催時間 | ●どんど焼き 午前10時から ●追儺式 午後7時から |
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電話 | 0735(22)2533 |
鬼毛とは「太い毛」のこと。鬼毛箒は、シュロ皮の太い毛だけを使って作られています。耐久性に加え、弾力性があり、畳など凸凹のある場所でも、ほこりやゴミをしっかりと集めてくれる優れもの。鬼毛は1枚の皮から少ししか取れないことからも高級品とされています。
名称 | 山本勝之助商店 |
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場所 | 海南市阪井679 |
電話 | 073(487)0001 |
備考 | ※店頭販売は不定期、電話で問い合わせを |
普段目にするユズの何倍もの大きさで、ボコボコした皮が特徴。鬼の顔のような形なので、邪気を払う縁起物や観賞用として使われています。ユズのように強い香りはなく、ほのかにかんきつ系の香りがします。収穫期は11月~12月、枝には長く鋭いトゲがあります。
名称 | 観音山フルーツガーデン |
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場所 | 紀の川市粉河3186-126 |
電話 | 0736(74)3331 |
営業時間 | 午前8時~午後5時 |
休日 | 無休 |
見た目の怖ろしさから「オニ」という名前が付けられたようです。背中に強い毒のあるトゲを持つ危険な生き物ですが、ホラ貝には毒が効かず、食べられてしまいます。海中ではサンゴを主食としているので駆除の対象にされることも。弱点は柔らかな吸盤のあるおなか。
名称 | 京都大学白浜水族館 |
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場所 | 白浜町459 |
電話 | 0739(42)3515 |
営業時間 | 午前9時~午後5時(入館は4時半) |
休日 | 無休 |
料金 | 高校生以上600円、小・中学生200円 |
和式建築の屋根を見上げたとき、一番高い部分にある瓦が鬼瓦。さまざまな種類がありますが、鬼の顔がついているものは鬼面と呼ばれています。にらみを利かせた迫力のある鬼瓦は、災難から家や住人を守る魔よけ・厄よけとして飾られています。