第4回 ねんねこ祭り 〜御飯持ちと童児〜
- 2017/11/16
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子どもの成長と豊作を祈願
イセエビ漁が盛んな漁師町・串本町田原地区。路地の先にたたずむのが「ねんねこの宮」で親しまれている木葉(このは)神社。古くから紀南地方では、子育ての宮として参拝するといった習わしがあります。
この地区で、子どもの成長と豊作を願って行われる祭りが「ねんねこ祭り」。その準備は、10月最後の「卯(う)」の日の翌日から行われます。井谷正守宮司は「浜辺の一画にしめ縄を張った“潮くみ田んぼ”で海水をくみ、祭り代表者とその家を清める“潮くみ神事”をします。今は祭り前の5日間ですが元々、約1カ月間行っていました」と話します。
祭り当日は、「日の出遥拝(ようはい)」の渡御で始まります。行列は、道を清める「潮打ち」、洗米とサカキの枝を納めたおひつを頭上で支えた女児「御飯持ち」、はかま姿で腰に刀をさした「大幣(おへい)持ち」「御幣(ごへい)持ち」「童児(どうじ)などが続きます。宮司が鈴をチリンと振り鳴らすと一行は一歩前進。鳥居から遥拝所までの数百㍍を1時間かけ、ゆっくりと練り歩きます。
遥拝所に着くと、太陽に向かって、おひつを供えて祝詞を奉納。本殿に戻り、釜湯を使っておはらいをした後、拝殿での神事に。升に米を盛り、その上に折り紙で折ったウズラをのせて弓で射る「お弓の儀式」と、宮司と童児がミカンとコウジをのせたゴザの両側に座り、「ミカン食おうか」「コウジ食おうか」「酒飲もうか」と交互に唱えながら、両端からゴザを巻いていく「ミカン問答」を行います。どちらも豊作祈願を表現しています。
その後が子どもの成長を願う子守神事。宮司が巻いたござ(ふとん)を肩の位置で持ち、子どもをおんぶするようにして「ねんねこ、ねんねこ、おろろんよー」と唱えながら歩いて御幣持ちへ。ござは次々と別の御幣持ちにつながれ、最後に童児に渡されます。さらに、赤い布で作った枕、米を白布で包み乳房を形どったもので同じ動作を繰り返します。
この祭りは子どもが主役である一方、地区の子どもの数は減少傾向。井谷宮司は「どう祭りを継続していくかが今の課題」と解決法を模索しつつ、「いい祭りなので、みんなの協力をいただきながら守っていきたいです」と力を込めています。
【祭り情報】
日時 | 12月3日(日) |
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住所 | 木葉神社(串本町田原) |
電話 | 0735(74)0470 |
内容 | 7:00 日の出遥拝所へ渡御 8:00 本殿大前儀 9:00 お弓の儀式、ミカン問答、子守神事、餅まき 10:00 神楽奉納、獅子舞 12:00 終了 |
※毎年12月第1日曜日に行われます
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