第8回 紀州三大祭り
- 2018/6/21
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地域の風物詩、田辺祭、粉河祭、和歌祭
和歌山県内の神社や寺院では年間を通して大小さまざまな祭りが行われています。その中でも、「紀州三大祭り」といわれているのが「田辺祭」「粉河祭」「和歌祭」です。
「鉄道が開通した明治末期~昭和初期、当時の観光は神社仏閣への参拝が中心。地域の祭りも観光資源の一つとされる中で、“紀州三大祭り”といわれ始めたと考えられます」と話すのは、和歌山県文化遺産課の蘇理(そり)剛志さん。祭りの見どころを伝えます。
夏の風物詩となっているのが、田辺祭と粉河祭。
田辺祭は闘鶏神社の例祭で、各町の「おかさ」と呼ばれる8基の笠鉾(かさほこ)を出して町中を巡るにぎやかな祭りです。蘇理さんは「田辺は江戸時代、紀州徳川家の付家老・安藤家が治めた城下町。武家や町人の間で広まった芸能文化が祭りに表れています」と説明。笠鉾の上屋に町の守り神である人形を乗せ、その下で笛・太鼓・三味線の粋で軽妙なおはやしを奏でます。夜、笠鉾のちょうちんの明かりが町を流れる会津川に映り、一帯は幻想的な雰囲気に。その中を人々が行き交います。
粉河祭は西国三十三所第三番札所粉河寺の鎮守、粉河産土神社の祭礼で、商店が並ぶ「粉河とんまか通り」を何百人もが連なって練り歩く渡御式と、通りを勢いよく往来するだんじりで知られています。
渡御式の役割は、村単位などでつくる座・講といった組織が分担。今も変わらず継承されているのが、行列の先頭を赤い衣装の稚児が馬に乗って進む「栗栖の一つ物」です。「祭りが近づくと、使者がかつての粉河寺領、栗栖(和歌山市)まで参加をお願いに行く習わしが残っています。粉河までの道のりは30キロ以上。交通網が整備されるまでは馬や徒歩などで長い距離を移動していました」と話します。
だんじりの屋台は、割り竹が弧を描くようにして全体を覆う「ひげこ」が特徴。四方を飾る幕には、雲竜や合戦図の豪華な刺しゅうが施され、経済的に豊かな商人町であったことが伺えます。
新緑の5月、和歌山市の和歌浦を舞台に行われるのが和歌祭。「奇抜な出し物や踊りで観客を喜ばせたり、驚かせたりすることから、“風流(ふりゅう)の大祭”とも言われます」と蘇理さん。江戸時代から続く、徳川家康をまつる紀州東照宮の大祭で、勇壮な神輿(みこし)おろしと、当時の人々の様子を再現した渡御行列で構成。渡御は、いくつかの組に分かれて、演技や踊りなど約50の演目を披露しながら、神輿に華を添えます。
歴史を知ることで、いつもの祭りがぐっと身近に感じれるかもしれません! 次回は8月を予定
【祭り情報】田辺祭
開催日 | 7月24日(火)、25日(水) |
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問い合わせ | ☎0739(26)9929田辺観光協会 |
【祭り情報】粉川祭
開催日 | 7月28日(土)、29日(日) |
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問い合わせ | ☎0736(77)2511紀の川市観光振興課 |
※今後、協会と市のHPで詳細が掲載されます