空気が澄み渡る冬 わかやまの名水を求めて
- 2016/12/8
- フロント特集
第2週発行号は〝GoodLife(上質な暮らし)〞を提案。今回のテーマは「趣味」です。紅葉が落ち葉になり、本格的な冬の到来。空気が澄み、晴れ渡る青空のもと、名水を求めて旅してみては…。
食の安全・安心、健康意識…
昭和50年代後半以降、水を買う時代に
和歌山県が、水にまつわる景色を通じて魅力をアピールする「水の国、わかやま。」キャンペーンを展開していることはご存じ?〝木の国〞と呼ばれる自然豊かな和歌山には、それを育む美しく豊潤な水環境があります。
一方で、一昔前は井戸水や水道水を普通に飲んでいた私たちですが、今は、店舗でミネラルウオーターを購入したり、事務所や家にウオーターサーバーを設置したり…、〝水を選んで買う時代〞へと変わってきました。
ミネラルウオーターが、一般家庭に普及し始めたのは昭和50年代後半。「日本ミネラルウォーター協会」によると、昭和58年の生産量は9万36キロリットル、うち国産が8万9000キロリットル、輸入1036キロリットルなのに対し、昨年の生産量は338万7400キロリットル、うち国産303万8504キロリットル、輸入34万8896キロリットルと37.6倍になっています。
その背景には、食の安全・安心に対する意識、健康志向の高まりに加え、災害時の備蓄用の需要といった影響もあります。
「水の国、わかやま。」を名乗る和歌山には今もなお、地域の人々の生活を潤す〝清らかな水〞があちらこちらで湧き出ています。地元の名水を訪ねてみませんか。
“木の国”を潤す湧水を巡る
「名水百選」に選ばれている
紀三井寺の三井水と野中の清水
昭和60年に環境庁(現・環境省)が選定した全国の「名水百選」に、和歌山県内で選ばれているのは、早咲き桜の名所・紀三井寺の三井水(さんせいすい)と、熊野詣の人々の喉を潤したという野中の清水の2カ所。
紀三井寺には、三つの井戸「清浄水(しょうじょうすい)」「楊柳水(ようりゅうすい)」「吉祥水(きっしょうすい)」があり、それが寺名の由来となっているのはわりと有名なお話。大正11年、昭和天皇が皇太子時代に和歌山に訪問された際、和歌浦の宿舎まで清浄水を運んだとも…。荒廃、老朽化が進んでいた吉祥水、楊柳水は近年、有志によって整備され、名草山の懐に抱かれる三井水は今も絶えることなく湧き出ています(参拝料大人200円)。
野中の清水は、樹齢800年を超える名木「野中の一方杉」で知られる、田辺市中辺路町の神社・継桜王子(つぎざくらおうじ)の真下に湧き出ています。清水は、古来一度も枯れることなく、道下の養命寺の近くを流れ、野中川に流入。現在も地元の人たちの貴重な飲料水・生活用水として使われているだけでなく、遠方からもくみにくる人が後を絶ちません。
傍らには、その清らかさを表現した松尾芭蕉の門人・服部嵐雪(らんせつ)の句碑と斎藤茂吉の歌碑があり、嵐雪は伊勢と熊野を詣でた後、田辺に向かう途中に、茂吉は白浜に向かう道中で句、短歌を詠んでいます。
「水」と「朱」の女神を訪ねる・・・丹にうつひめ生都比売神社
丹生都比売大神は、水との関係が深い女神さま。神社のある天野盆地は、紀の川の水源の一つ。「丹生」は、水銀の原料である丹(朱)砂を意味し、古代から魔除けの力があるとされ、空海はこの神から高野山を授かったとされています。詳しくはHP(http://www.niutsuhime.or.jp/)参照。参拝自由。
場所 | 伊都郡かつらぎ町天野 |
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電話 | 0736(26)0102 |
龍神・がまの湯&紀美野・だるま湯
温泉で〝名湯〞を飲む
「水の国、わかやま。」には、心身を癒やす「いで湯」が各地にありますが、〝名湯〞を飲んだことはありますか?
アユ釣りのメッカ・田辺市龍神村の「田舎宿川口」では、飲用、料理用に天然温泉「がまの湯」の温泉水を使用。無色無味無臭のまろやかな口当たりで自動販売機で販売もしています(1リットル10円)。
療養温泉として名高い紀美野町の「藤の森不動温泉だるま湯」でも、「だるま石渓谷」に湧く温泉水が人気。やや黄色がかった〝温泉〞らしい味で、調理用水として使えますが、腎臓病、高血圧症、むくみのある人、甲状腺機能亢進症の人は飲泉は禁忌とされています(10リットル300円で販売、ペットボトルでのくみ水は不可)。どちらの温泉も日帰り入浴OK。ポリタンク持参で出掛けてみては。
問い合わせ | 藤の森不動温泉だるま湯 |
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住所 | 海草郡紀美野町滝の川73 |
電話 | 073(498)0114 |
営業時間 | 日帰り入浴午前10時~午後8時 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | 大人800円、子ども350円 |
水販売 | 10ℓ300円(20ℓ2800円から発送も可能) |
ホームページ | http://www.darumayu.com/ |
問い合わせ | 田舎宿川口 |
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住所 | 田辺市龍神村小家1013-3 |
電話 | 0739(77)0344 |
営業時間 | 日帰り入浴午後1時~10時(土・日曜、祝日は午前11時~午後8時) |
定休日 | 月・火曜 |
入浴料金 | 大人540円、子ども320円 |
水販売 | 1ℓ10円(10ℓ以下は店内へ) |
ホームページ | http://www.gamanomizu.com/ |
商品化されているわかやまの名水
南紀白浜 富田の水
(1.3ℓ×8個&ピッチャー/1593円)
白浜町十九渕、地下90mの地下水脈から噴き上がった「太古の水」。南紀白浜富田の水(http://www.tondanomizu.co.jp/)で通信販売。☎0739(45)1580同社
神秘の水 月のしずく
(2ℓ×6本/5184円)
橋本市神野々に湧く無菌の地下水「金水」と温泉水「銀水」をブレンド。天然温泉ゆの里(http://www.spa-yunosato.com/)で販売。☎0736(32)2929重岡
霊峰高野山 大師の水
(2ℓ×6本/3110円)
高野山麓でくみ上げられた清冽(れつ)な伏流水。サカイキャニング(http://www.sakai-canning.co.jp/taishinomizu/)で通信販売。☎0736(43)0012同社かつらぎ工場
和歌山 ゆあさの水
(2ℓ/60〜70円)
紀州長峰山系の深い地層にしみ渡った清水を地下200mから採水。Amazon(https://www.amazon.co.jp/)などで取り扱い。☎0120(180)110あさみや
今や水道水も販売する時代!?