秋の味覚・スーパーフード
やっぱり、キノコでしょ!
- 2021/10/14
- フロント特集
秋の味覚の代表格「キノコ」。メインディッシュから副菜まで、いろいろな料理で活用できる食材です。10月には「キノコの日(15日)」が設けられるなど、多品種が市場に多く出回るそうです。今号は幻のキノコと呼ばれるハナビラタケ(写真)を中心に、キノコの魅力を伝えます。
ハナビラタケ(400g)を読者10人にプレゼントします。
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人工栽培で手に入りやすくなったキノコ
種菌の研究開発メーカーが和歌山に
日本には食用としてのキノコが約100種類あるといわれています。キノコは、カビや酵母と同じ菌類の一種で、私たちが普段食べているのは、種子になる胞子を作る部分(子実体)。技術の進歩で人工栽培が可能になり、一年中手に入りますが、自然界では秋に子実体が現れるため、古くから「秋の味覚」として親しまれています。
人工栽培は大きく分けて、ナラやクヌギなどの広葉樹の原木に、キノコの菌糸が入った木片を打ち込み栽培する「原木栽培」と、おが粉やチップなどをビンや袋、箱に詰め、種菌を接種・培養する「菌床栽培」があり、どちらも菌糸を培養した「種菌」を使って育成します。現在、種菌の研究・開発メーカーは日本に数えるほどしかなく、その中でも何種類もの種菌を手掛けているメーカーの一社が、橋本市高野口町に本社を置く「かつらぎ産業」です。
人工の種菌は、菌糸を幾通りにも掛け合わせて作るので、メーカーによって特徴が異なります。同社の研究開発部・池田篤紀さんは、「新品種の開発や改良は、生産する際に育てやすく、しかも安定して出荷できるのが大前提。“1つの菌床から採れるキノコの数を多くする”“色や味に変化を付ける”“子実体を大きくする”など、時代のニーズを捉えて目標を設定し、研究を進めます。ですので、店頭で並んでいるキノコを見ると自社の種菌で育ったかどうかを大体見分けられます」と笑顔を見せます。
次項では、同社が国内生産量8~9割を占めるという種菌の一つで、“幻のキノコ”とも呼ばれる「ハナビラタケ」を紹介する他、キノコの上手な見分け方やおすすめ料理などについて池田さんに聞きました。
キノコの魅力をたっぷり味わって
食物繊維の仲間、β―グルカン含有量
キノコの中で乾燥ハナビラタケに多い
“菌活”といえば“キノコ”の名が挙がるように、味や香りが良いだけでなく、栄養素が多く含まれ、“スーパーフード”と注目されています。
シイタケやエノキタケ、ブナシメジなど、食卓に並ぶキノコは人工栽培のものがほとんどで、主に長野や新潟、北海道などで生産。一方、それぞれの品種をつくる種菌メーカー、特に何種類もの種菌を手掛けているのは数えるほどです。
現在、7種類の種菌を扱う「かつらぎ産業」は、1987年に創業。会社員だった久保正秀社長が「ニッチな産業でオンリーワンのものを」と退職し、独自の技術でブナシメジの栽培をスタートさせました。品種の研究・開発を進める中、97年、幻ともいわれるハナビラタケの人工栽培に国内で成功したという情報をつかみ、同社でも栽培に着手することに。当時は生態自体が分からず、全くの手探り状態。生のハナビラタケから菌糸を採取して、組み合わせや栽培条件を少しずつ変え、交配を繰り返し、何年もかけてオリジナルの菌株を生み出すことに成功しました。そして2005年、全国で唯一品種改良をして種苗登録を出した企業として、販路を拡大していきました。
研究開発部の池田篤紀さんは「キノコにはビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれており、免疫細胞の働きを活性化させるといった研究データが多数報告されています」と説明。「特に乾燥したハナビラタケは自然免疫力を助けるといわれるβ―グルカン(多糖類で食物繊維の仲間)が、100グラム当たり35グラム前後あり、他の乾燥キノコに比べて多く含まれています」と続けます(下表参照)。
ハナビラタケはキノコ全体の約0・02%と生産量が少ないものの、需要は少しずつ伸びているとも。同社はハナビラタケの加工品も手掛け、日本のみならず海外にも販路開拓しており、池田さんは「料理との相性も抜群ですし、世界的に健康思考が高まっているのを見ると、将来的に量産され、さまざまなかたちで活用されると考えています」と話します。
キノコが食べたくなる秋。池田さんにキノコの選び方やおすすめ料理を教えてもらいました。
ハナビラタケの料理
●唐揚げ
●トマトパスタ
●卵かけごはん
●シイタケ
●エリンギ
●キクラゲ
●マイタケ
●ブナシメジ
●キノコのオリーブオイル炒め
●キノコのレモンみぞれ鍋
●マイタケのオムハヤシ
●マイタケのピザトースト
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