- Home
- 社会や家族の形に対応していく供養の話
社会や家族の形に対応していく供養の話
- 2020/9/17
- 結婚&葬祭のいまどき
- 供養, 過去の人気連載コーナー
時代や家族の形の変化によって、先祖代々の墓を未来へつなげていくということが難しくなってきています。そのような悩みを解決するため、「永代供養墓」という選択肢も。一般的なものとどのような違いがあるのでしょうか。
永代供養墓だから安心?
中身をしっかり見極めて
従来、墓は先祖代々が受け継いで管理していくのが当たり前とされてきました。しかし近年、墓を持たないという選択をする人が増加傾向に。時代の変化に柔軟に対応している善称寺(和歌山市本町)の住職・宇治田真宣さんに話を聞きました。
理由の一つとしては、墓や墓地にかかる費用と、墓を継いで以降続いていく法事や、寺の改修などにかかる費用を負担に感じるという人が増えたため。またかつては、“法事は行って当然”という風潮がありましたが、子どもや親戚が他府県で暮らしており、なかなか集まる機会が作れないということも。家族・親戚が精神的に疎遠になり、人と人同士の関わりが薄れきているのが現状といえます。宇治田さんは、「“子どもが娘1人、結婚の意思がなく…”というような悩みが寄せられることも多くあります」とも話します。
そんな社会の変化や家族のニーズに合わせて登場したのが、「永代供養墓」。墓参りをする人がいない、墓参りに行くことが難しいという人に代わり、寺や霊園が供養、墓の管理をしてくれるシステムです。一般的な墓は、霊園や寺院に年間管理料を支払い、残された家族がきれいに掃除をして、お盆やお彼岸などに墓参りをして維持していくもの。永代供養墓は、ほとんどの場合が合葬墓(合同墓)で、後継ぎを立てる必要がなく、寺を中心にみんなで守っていきます。一般的な墓に比べて低価格で、継続的に管理料を支払う必要もありません。
しかし、永代供養墓と一口に言っても、寺によって供養や法要の仕方など、中身に違いがあります。“永代”だから安心と考えるのではなく、檀家になっている、あるいは新たに選んだ寺や霊園に、それぞれ抱えている悩みや不安を解決できる仕組みがあるかどうかを具体的に知ることが大切です。その施設が設けている供養のシステムを調べてみると、おのずとそこがどんな考えを持っているか分かるもの。信頼して相談できる所を見つけてください。
また、親が「墓を継がせることで次世代に負担をかけたくない」と子どもに相談せずに決めてしまうケースも多いですが、遺されるのは子どもの方。早い段階で、家族で一緒に考えていくのが理想ではないでしょうか。
家族の形や希望に合わせて、悩みを解決
永代供養とは?
寺や霊園が無期限に墓の管理や供養を行う
墓を管理する人がいない、墓参りをすることが困難という人のため、寺や霊園などが無期限で供養を行います。宗教・宗派を問わず、また無宗教であってもOK。生前の申し込みも受け付けています。
供養・墓の種類は多様、希望に合わせて選択可能
合葬墓(合同墓)だけでなく、個人墓や納骨堂に納めるなど方法は多様にあります(下記参照)。基本的にこれらの墓は、寺院や霊園が年間を通してきれいに整え、花を供えて、法要を行います。
各施設で内容はさまざま
一口に永代供養といっても、寺や霊園、他の宗教施設によって内容はさまざま。例えば、浄土真宗には「永代供養」という概念がありませんが、悩みに対応する仕組みを設けている寺院は多々あります。家族に合った供養の仕方を選びましょう。
亡くなった人を思い続けていく
法要は、遺族や生きている人が、亡くなった人を思って行うもの。同時に、寺院との関わりを深めたり、僧侶の説法を聞くことで、自分自身の生き方を見つめ直す機会でもあります。亡くなった人があっての縁も大事にしてくださいね。
遺族は自由参加の「合同法要」
お彼岸(春・秋)、お盆、年忌、命日
春と秋のお彼岸、お盆、年忌(33回忌まで)、命日(祥月命日、故人の亡くなった月日と同じ月日のこと)の4つの法要が、合同で行われます。
法要の日時は事前に知らされ、参加・不参加は自由。参加する場合は、他の家の遺族と同席することになります。遺族が参加しなくても、きちんと進められるので安心。参加する場合は、法要当日の費用やお供えなどは必要でなく、持ち物は数珠だけ。希望者は、家族ごとに個別の法要を行うことも可能です。
※善称寺で行っているもの。各寺院で異なります
関連キーワード