冬はノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行する時期です。食品の衛生管理や手洗いなど、家庭でできる対策を和歌山市保健所や市食品衛生協会の手洗いマイスターに教えてもらいます。
人の手を介した2次感染に注意を
冬から春先にかけて流行し、各地で集団感染を引き起こす感染性胃腸炎「ノロウイルス」は、わずかなウイルスで感染。おう吐物や便を処理するとき、手に付いたり、乾燥して空気中のほこりやちりと一緒に飛び散ったりしたウイルスが、口に入ることで感染し、おう吐や下痢、腹痛、発熱などの症状を引き起こします。
ノロウイルスは、食品中では増えず、人の腸管内だけで増殖するのが特徴。ノロウイルスが原因の食中毒の場合、ほとんどが調理した人の手を介した2次感染ともいわれます。
和歌山市保健所生活保健課食品保健班によると、ノロウイルスによる食中毒は、全国的に件数、患者数ともに高い割合を占めているとのこと。インフルエンザのように予防するためのワクチンもないため、感染を止め、拡大させないことが重要です。
では、どうすれば予防できるのでしょう。
同班の担当者は「予防するための4カ条として“食品対策”“手洗い”“衛生管理”“汚物処理”があります。中でも最も有効なのは手洗いといわれています。帰宅時や食事前の手洗いを習慣付けるように。また、ノロウイルスは熱に弱いため、食中毒のおそれのある食材を調理する際、中心部を85~90度の温度で90秒以上加熱してください」と伝えます。
その上で、「もし、かかってしまったら、すぐに医療機関を受診しましょう。症状が消えても2週間以上ウイルスが排出されることもあります。抵抗力の低い子どもや高齢者は、かかりやすい上、重症化しやすいので特に注意が必要です」と話しています。
ノロウイルス予防4カ条
1、食品対策
できるだけ貝類の生食は避けましょう。食品の中心部まで85~90度で90秒以上加熱しましょう
2、手洗い
ウイルスを洗い流すため、調理の前後や食事の前、トイレやおむつ交換、ペットを触った後など、必ず石けんで手を洗いましょう
3、衛生管理
まな板やふきんなどの調理器具や食器類は、洗剤で洗った後、塩素系漂白剤や熱湯で消毒しましょう
4、汚物処理
おう吐物やふん便を片付けるときは、使い捨ての手袋・マスクを着用。床やトイレは塩素系漂白剤で消毒しましょう
石けんと流水でウイルスを落とすように
感染症や食中毒を予防するための手洗い。おすすめの手洗い方法はあるのでしょうか。
「石けんと流水でウイルスや菌を流し落とすように洗います」と話すのは、和歌山市食品衛生協会の会長で、手洗いマイスター(日本食品衛生協会認定)の資格を持つ後藤勝文さん(写真)。ノロウイルスはとても小さなウイルスなので、爪先や手のしわの間に入り込んで落ちにくいことがあるとし、「指輪や腕時計は外し、流水で約5秒間、手に付いている脂やほこりを落とします。石けんはしっかりと泡立て、ウイルスを絡め取るように手のひらや指の間、手首などを丁寧に洗い、最後に流水で洗い流します。2回繰り返すとより効果的。普段から習慣づけておくことが大切です」と説明します。
洗った後は、ペーパーや清潔なタオルで手を拭き、アルコール消毒も忘れずに。日本食品衛生協会が推奨する手洗い法が動画(https://www.youtube.com/watch?v=z7ifN95YVdM&feature=youtu.be)で紹介されています。
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